Project/Area Number |
22K13193
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武藤 三代平 北海道大学, 文学研究院, 専門研究員 (50804621)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
|
Keywords | 東京地学協会 / 科学アカデミー / 帝立ロシア地理学協会 / ベルリン地理学協会 / 榎本武揚 / 桂太郎 / 陸軍参謀本部 / 海外地理書 / 地理学知・地理情報 / 学会の政治主導 / 花房義質 |
Outline of Research at the Start |
人類のあらゆる営為が地球上で行われる以上、国内外を問わず、地理情報を把握する活動は政治、外交、軍事、経済を進展させるうえで欠かすことができない。 本研究は榎本武揚、渡辺洪基、花房義質、鍋島直大、長岡護美らによって、1879年に設立された東京地学協会を分析対象とし、「地理学知(地理情報)」が果たした政治機能とその役割を解明する。多くの政治家、官僚、軍人らが会員となり、学会運営を主導した明治期の地学協会を分析する事で、アカデミズムの確立以前における「政治と学術」との相互関係を浮き彫りにする。また政治機能を中心に据えつつ、外交、軍事、経済面における「地理学知」の汎用的な役割についても展望する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2022(令和4)年度は本研究の初年度にあたるため、研究の土台となる資料調査と分析を行い、論文執筆のための準備に従事した。 第一に、東京地学協会の全会員(社員)とその入退会の実態を詳細に調べ上げ、同会の人的な全体像を把握した。明治期から昭和戦前期にいたる全会員を調査することで、政治機能としての学会からアカデミズム化への道を歩んだ過程が展望できている。第二に、明治期の陸海軍軍人が地学協会会員の3割ほどを占めているため、明治期における軍人による学会運営の実態について分析し、論文としてまとめている。第三に、19世紀半ばから世界各国・各都市で設立された地理学協会(geographical society)の各機関誌を調査し、世界規模で地理学的な「発見」への実践を支えていた地理学知・地理情報の学術ネットワーク(学知・情報の相互交換体制)の解明に努めた。 2022年度も昨年から続く新型コロナ流行の影響を被っていたが、被るであろうことは予想できていたため、遠方への史料調査等には従事せず、研究拠点から近隣にあたる公共図書館、史料館、大学研究機関等での調査・分析とに専念した。特に、首都圏域にある国立国会図書館、早稲田大学図書館等で頻繁に資料調査を行った。その結果、上記したように本研究を遂行していく上での基部となる地学協会の全会員を把握する地道な作業と分析が、おおむね完成をみている。その意味からも、本研究の基礎を築いた一年間といえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度中において研究成果の公表が出来ていないものの、下記の3点から研究の進展が展望できる状態にある。 第一に、東京地学協会が明治期に刊行していた機関誌『東京地学協会報告』および『地学雑誌』を詳細に分析し、学会を運営していた「政治主体」の人的構成を把握できた。第二に、地学協会の会員となっていた陸海軍軍人の個人史料を精査することで、地学協会と軍人の関与をあぶり出すことができている。特に陸軍では桂太郎、海軍では赤松則良の個人文書を調査することで、学会運営への参画を把握した。この検討結果を論文としてまとめている。第三に、イギリス、ドイツ、フランス、ロシアを中心にデジタルアーカイブを利用しつつ、各国の地理学協会の機関誌を調査した。膨大な分量であるため、完遂には至らないが、地道な作業によって日本の東京地学協会との濃密な関係が徐々に明らかになってきている。 以上は、本研究のテーマである「地理学知」と政治機能の関係を浮き彫りにするものであり、今後の研究を進捗させる上で、基部を形成するものとなる。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、3年間続いてきた新型コロナの影響が、漸次解消しつつあり、遠方への資料調査や学会活動も再開できるようになったことが見込まれる。そのうえで、2022年度同様に地道な資料収集をこなしつつ、論文等の作成に従事する。 第一に、19世紀後半の世界各国・各都市に存在した地学協会(地理学協会)の把握を行い、日本の東京地学協会の立ち位置を検討していく。第二に、東京地学協会の変遷を通して、政治機能としての学会から、アカデミズム的な学会への道程を調査・分析していく予定である。
|