戦国期畿内近国の拠点的な城郭についての研究―関連史料と空間構造の分析を中心に―
Project/Area Number |
22K13209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
新谷 和之 近畿大学, 文芸学部, 准教授 (20825103)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 城郭 / 戦国時代 / 畿内 / 大名 / 守護 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、戦国期に日本の首都圏であった畿内近国をフィールドとして、政治的・軍事的に重要な役割を果たした城郭(拠点的な城郭)の特質を探る。まず、同時代の古文書や古記録から対象となる城郭の記事を抽出し、その機能や歴史的役割について考察する。次に、各城郭の先行研究や調査歴を整理し、現地踏査を通じて空間構造の把握を行う。これらの検討を通じて、畿内近国における拠点形成の動向を時間軸と空間軸の両面から評価し、その地域的な特質や技術史上の到達点を示す。それを踏まえて、次代の織田権力下での築城への影響関係を探り、中世城郭から近世城郭への展開に畿内近国が果たした役割を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
畿内近国を対象として、戦国期の拠点的な城郭に関する文献調査とフィールドワークを実施した。まず、対象となる城郭をリストアップするため、府県別の分布調査を中心として、『日本城郭全集』『日本城郭大系』『図説中世城郭事典』『図解 近畿の城郭』などの書籍を参照しながら、中世城郭のデータを旧国別に整理した。中世城郭跡は各国で数百から千数百ヶ所存在が知られているが、そのうち特に規模の大きなもの、文献史料上や発掘調査によりその機能を明らかにできるものを重点的に取り上げ、史料の収集を進めるとともに、現地踏査を実施して構造の把握につとめた。 そのうち、観音寺城(滋賀県)については、城主である六角氏の歴史と絡めてその成り立ちを説明した書籍をまとめ、公表することができた(新谷和之『図説 六角氏と観音寺城』戎光祥出版、2023年)。また、越前朝倉氏の本拠域内での築城に着目し、東郷槙山城(福井県)の遺構が戦国期以前にさかのぼるとみられることから、朝倉氏一門の自立性を指摘した(新谷和之「越前国東郷槙山城の歴史と構造」『民俗文化』34、2022年)。 また、山城の地域の中での位置を考える上で、里山利用との関連を問うことが不可欠であることから、関連する研究のレビューを行った(新谷和之「中世城郭と植生・薬種」『和歌山地方史研究』34,2022年)。あわせて、城館を構築する主体となる大名や国衆の動向について、近江国を事例にまとめた(天野忠幸編『戦国武将列伝8 畿内編 下』戎光祥出版、2023年、共著)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が対象とする畿内近国において、中世城郭のデータベースの基礎を構築し、規模や機能の面で特筆すべき事例を検出することができた。中近世城館を対象とした都道府県別の分布調査は1970年代以降段階的に進められ、現在ではほとんどの都道府県で報告書が刊行されている。その成果は、中世城郭の技術水準をはかる基礎データとして有用だが、相互の比較検討や検証はほとんどなされていない。本研究では、こうした分布調査の成果を旧国別に整理しなおし、畿内近国における城館の特質や地域的な差異について検討している。これにより、城郭遺跡を歴史学の資料として活用することが可能になると考える。 近江国や越前国では、拠点的な城郭についてのケーススタディに取り組み、その成果を公表することができた。そこでは、文献史料の読み解きに加え、実測図や赤色立体図など最新の測量成果も駆使しながら、城郭遺構の把握につとめた。測量の精度が高まることで、遺構の認識が深化することを実例をもって示すことができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き旧国別のデータベースの充実につとめる。京都府や奈良県の分布調査では、城郭に関する文献史料の集成が行われているが、他府県でも同様の史料収集につとめる。 基礎データをまとまって収集できた事例を中心に、現地踏査を実施し、縄張図等の作成を通じて遺構の分析を進める。既存の測量図や絵図、地図等のビジュアル資料を可能な限り集め、空間構造の把握につとめる。昨年度と同様、いくつかのケーススタディを論文等にまとめ、公表を目指す。 なお、本研究の中間的な成果報告として、畿内近国における山城の成立の意義について学会での報告を予定している。また、絵図や絵画資料から城郭の機能や防御施設の実態を読み解く研究を行い、書籍にて公表する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(9 results)