Project/Area Number |
22K13288
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05030:International law-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
開出 雄介 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 准教授 (50902714)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 国家責任法 / 国際法の基本構造 / 基本権 / 約束 / 法的損害 |
Outline of Research at the Start |
現在の国家責任法論は、従来妥当してきた責任法が損害払拭の責任法であることを前提に展開されているが、従来の責任法がそれを通じて形成されたと言われる外交的保護は、20世紀以降、約束責任として実定法上妥当しており、損害払拭の責任法とは異なる形で責任を認めていることが、申請者のこれまでの研究で明らかになった。 従来の責任法が損害払拭の責任法であるとの理解は根本から見直さなければならない。本研究はこのような問題意識から、新しく、国家実行、判例をより適切に説明する国家責任法の歴史的展開理解を提示し、国家責任法論の新たな基礎を打ち立てようとするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、外交的保護の歴史的展開の検討を通じて明らかとなった、国家の基本権と約束という基本概念を踏まえて、国家責任法全体の歴史的展開を明らかにし、もって国家責任法の現在における全体像を提示しようとするものである。 今年度行うことができた作業としては、主に3点挙げることができる。すなわち、国家の基本権と約束という概念を踏まえた、国際法の様々な分野に関する歴史的検討、外交的保護に関する研究の公表に向けての作業、そして、外交的保護の重要判例について判例研究である。 まず、初年度である今年度は、国家の基本権と約束という概念を用いて、国際法の様々な分野を分析していく作業を行なった。具体的には、国際法総論の各分野、すなわち、国家管轄権、国際法と国内法の関係、国際法の主体、武力行使の規制、国家免除といった分野について、国家の基本権と約束という視点からみるとどのように分析することができるかについて、検討を行った。 次に、これまでに行ってきた外交的保護の研究についても、公表に向けて必要な作業を進めた。具体的には、外交的保護についての研究において、19世紀から20世紀に外交的保護の法的構造が転換したと論じたが、こうした展開がなぜ生じたのかについて、検討を進めることができた。 最後に、外交的保護の重要判例の一つであるディアロ事件判決について判例研究を行う機会があり、この関連で研究報告も行うことができ、外交的保護の専門家を含めた研究者と意見交換を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記のように、今年度は、国家の基本権と約束という概念を踏まえた、国際法の様々な分野に関する歴史的検討、外交的保護に関する研究の公表に向けての作業、そして、外交的保護の重要判例について判例研究との3点について、検討を進めることができた。 まず一点目の、基本権と約束を踏まえた国際法の様々な分野に関する検討については、当初の予定より検討することができた範囲は広かった。また、その検討の結果についても、予想より興味深いものをいくつか得ることができた。この意味で、当初の計画以上に進展していると評価できると思われる。 二点目に関しては、具体的には、外交的保護についての国連国際法委員会の作業の再検討と、歴史的な素材を用いて、19世紀から20世紀にかけての外交的保護の構造転換の理由についての検討を行ったものであるが、後者について、予想していたより興味深い結果を得ることができた。この意味でも、当初の計画以上の研究を進めることができたと評価できると思われる。 三点目に関しては、外交的保護の重要判例については、そもそも判例研究を執筆する計画ではなかったが、機会に恵まれ執筆することとなった。既に検討の対象としていた判例であったが、注意深く検討しなおすことによって、考察を深めることができ、また、研究についてより整理された形で提示することができるようになったように思われるため、この点についても、予想より研究は進展したと言うことができると思われる。 以上の三点から、今年度の研究は当初の計画以上に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、国際法の各論分野についても検討を進めるとともに、外交的保護の研究についても公表原稿を完成させたいと考えている。 2022年度は上記の通り、国際法の総論部分について、国家の基本権と約束という概念を踏まえて、検討を進めることができた。2023年度はまず、国際法の各論部分について、国家の基本権と約束との概念を踏まえて、またさらに、2022年度に行った総論部分の検討も当然に踏まえて、検討を進めることにしたいと考えている。具体的な検討範囲としては、武力行使の規制、免除、海洋法、環境法、人権法を特に念頭に置いている。 また、2023年度は、外交的保護の研究についても、公表原稿を完成させ、次年度における実際の公表に結びつけたいと考えている。本課題研究の基礎となっている外交的保護の研究について公表し批判を仰ぐことによって、本課題研究についても大いに示唆を受けることができると考えている。
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