Project/Area Number |
22K13494
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 07090:Commerce-related
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
熊谷 健 三重大学, 人文学部, 教授 (80908252)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | ブランド / 環境 / サステナビリティ / ウェルビーイング / 自己概念調和 / 消費者心理 / マーケティング / 消費者行動 / 購買意図 / 環境施策 / 事業価値 |
Outline of Research at the Start |
本研究は自己概念調和理論を応用し、ブランド、環境施策、および自己概念の心理的調和をブランド評価予測因子として提案するとともに、当該因子を用いてブランド評価の消費者心理メカニズムを解明し、環境施策評価手法の構築を試みるものである。売上に影響するブランド評価予測の正確性が向上すれば、それに伴って環境施策の事前評価精度が向上する。その結果、事業の不確実性が低減されることで、環境施策に対する企業の積極性は増し、持続可能な社会づくりの好循環が期待できる。従って、消費者心理に基づく環境施策評価手法の構築を試みる本研究の意義は大きく、実務的・学術的貢献が期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は第3次、第4次の消費者調査を実施した。これらの2回の調査は、同一のマーケティング刺激を用い、ブランド・パーソナリティ・スケール・アプローチ(BPS: Brand Personality Scale)並びに直接質問アプローチ(DCM: Direct Congruence Measure)に基づき実施した。 2つのアプローチに基づく結果は、いずれもブランド評価予測因子(Predictor)としてのBSSCの有用性を示し、本研究の仮説を支持するものであった。また、2つのアプローチによるデータを比較した結果、BPSによるデータは消費者の繊細な心理を示し、BSSCの効果についてサステナビリティ関与や所得水準による調整効果が確認された。また、BPSによるデータからは、全く同一の環境施策を行う場合でも、ブランド・パーソナリティによって消費者のブランド評価が変化することが実証された。 一方、DCMによるデータは、BPSによるデータよりもBSSCの予測効果をより明確に示した。この結果は、予測因子としての有効性そのものについてDCMの優位性を指摘する先行研究の結果を再現するものである。また、DCMの場合、関与水準や所得水準などの調整効果は非有意であった。したがって、この場合、消費者は直感的にヒューリスティクスによる情報処理を行っている可能性がある。これらの結果は、自己概念調和の測定方法(BPS vs. DCM)による消費者の情報処理プロセスの変化を示唆するものといえる。 第2次調査を含めた一連の調査・分析結果は学術面、実務面から高く評価され、令和5年度の関連研究実績は、査読付学術論文1篇、招待学術論文1篇、査読付Proceedings2篇、学会発表2篇、論説1篇となった。具体的には研究発表に関する報告欄を参照願いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は自己概念調和理論を応用し、ブランド、ブランド関連環境施策、及び自己概念の心理的調和(BSSC)を独自のブランド評価予測因子(Predictor)として提案するとともに、BSSCに基づく消費者心理メカニズムを解明し、企業における環境施策の評価手法の構築を試みるものである。これまで実施した4つの調査データはいずれもブランド評価予測因子(Predictor)としてのBSSCの有用性を示している。この効果は、購買意図のような短期的なブランド評価だけでなく、ブランドに基づく主観的ウェルビーイングのような、長期的な生活の質(QOL: Quality of Life)についても有意であった。また、BPSとDCFというアプローチの違いによって、消費者のBSSCに関する情報処理プロセスが変化する可能性が示唆された。BPSアプローチによるデータからは、サステナビリティ関与や所得水準が高いほど、BSSCの予測効果は大きくなることが確認された。 これらの調査・分析から得られた示唆は、企業が環境施策や社会貢献施策を行うことで形成される消費者のブランド評価や主観的ウェルビーイングの予測因子としてのBSSCの有効性を示唆するものであり、本研究の仮説を支持している。また、当該因子により消費者のブランド評価心理メカニズムを明らかにし、心理的アプローチによる環境施策評価手法を構築するという本研究の目的に有用な結果である。一連の結果を踏まえると、実務において環境施策戦略を策定する際には、BPSとDCMを併用して消費者調査を行い、BSSCを検討することが推奨される。研究2年目でこのような結果が得られたことから、本研究の進捗はおおむね順調だと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、一連の調査・分析に基づく成果を、本研究を総括する論文としてまとめ、国際学術誌や国内外の学術会議を中心に発表する所存である。これらの研究発表を通じて関連分野の研究者・実務家との意見交換を重ねることで、研究や研究結果に基づく実務的提言の精度向上を期待したい。 ところで、本研究はこれまで購買意図、購買行動、主観的ウェルビーイング等を従属変数として議論を展開してきた。しかし、サステナビリティ・マーケティングの文脈において、これらのブランド評価の背景にある機能性や環境配慮性に関する消費者の知覚には踏み込んでいない。令和6年度は、発展研究として、こうした点についても議論を試みる所存である。
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