灌流処理による鮮魚の死後脱血と品質保持メカニズムの解明
Project/Area Number |
22K13596
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 08030:Family and consumer sciences, and culture and living-related
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 希元 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (80807941)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 鮮魚 / 血抜き / 鮮度 / 品質保持 / MRI / NMR / 画像解析 / K値 / 鮮度保持 |
Outline of Research at the Start |
鮮魚は漁獲後の保存により筋肉品質の劣化が起こり,市場価値の低下や食品廃棄が長年の問題となってきた。これらを防ぐため動脈切断などの脱血処理による品質保持が行われているが,心停止や血液凝固により効果が著しく低下するため,対象は活魚のみと限定的である。本研究ではマアジを材料とし,血管に真水などを注入する灌流処理を用い,死後鮮魚の脱血技術を検討し,また画像解析による新規脱血評価法を開発することで水産物の有効利用につなげる。加えて,死後に鮮魚血管内で迅速に血液凝固するにも関わらず,なぜ血管外の筋肉品質の劣化に影響するのかという,脱血処理の有効性に関する核心的な学術的問いに取り組み,その解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
脱血処理は鮮魚の品質保持に有効であることが知られている。そこで新たな脱血技術として、血管から真水を灌流させ脱血する技術に着目し、その効果について検討した。また、これまで水産現場では目視など直感的かつ定性的であった鮮魚の脱血評価について、画像解析を用い、より簡便な技術の開発についても取り組んだ。 まずマアジ活魚を試料魚として用い血管から真水灌流し、筋肉中の血液成分であるヘモプロテイン含量を分析することで、その脱血効果を通常の血管切断による放血処理と比較検討した。その結果、真水灌流により放血処理と比較して筋肉中のヘモプロテイン含量が有意に減少したことから、試料魚の脱血が効果的に行われたことが明らかとなった。 また真水が低張液であるため懸念されていた、血管からの水の漏出についても、短時間で少量の適切な灌流処理を行うことで、筋肉の品質劣化を引き起こす明らかな漏出はLF-NMRやMRI分析では確認されなかった。また筋肉中の水分含量やドリップ率分析でも変化がないことを同時に示した。これらの結果は、真水灌流を適切に実施することで、通常の放血処理と比較し、より効果的な脱血が可能となり鮮魚の品質保持に有益であることを示唆するものであった。 さらに可視血管面積を画像解析により分析したところ、筋肉中のヘモプロテイン含量と高い相関を示した。筋肉の色調変化も、ヘモプロテイン含量との相関が認められたが、血管画像解析の結果と比較すると、その程度は低かった。この結果は、可視血管画像を分析することで、鮮魚の脱血程度が簡便かつ高精度に推定可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の理由により、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。(1):活魚を使用した実験において真水灌流を行うことで、筋肉中のヘモプロテイン含量が通常の放血処理と比較して有意に減少したことを確認した。この結果は、真水灌流処理が従来法と比較して鮮魚の脱血に有効であることを示すものであった。また懸念された真水の血管からの漏出についても、適切な灌流を行えば抑制できることを示した。 (2): これまで鮮魚の脱血評価については、手間と時間がかかる分析手法を用いる以外の方法がなかった。本研究では、可視血管面積を画像解析することで迅速かつ簡便な鮮魚の脱血評価技術を確立することが出来た。これらの研究進捗はおおむね当初計画に沿ったものである。
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Strategy for Future Research Activity |
マアジ活魚を用いた際の真水灌流処理の有効性は確認されたことから、致死後の血液凝固が起こった鮮魚試料を用い、致死後の時間経過も考慮した上で、その効果を検討する。さらに、致死後の脱血処理が鮮魚品質におよぼす影響についても、テクスチャー、保水性、遊離アミノ酸含量、ATP関連化合物含量、臭気成分等の分析により明らかにする。 また鮮魚血管内で血液がどのように凝固し、またその成分がなぜ血管外の筋肉品質に影響するのかという根本的なメカニズムについても、造影剤を用いたMRI分析や、蛍光顕微鏡観察などにより、詳細に明らかにしていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(11 results)