Project/Area Number |
22K14035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
廣島 渚 富山大学, 学術研究部理学系, 助教 (60845741)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 暗黒物質 / 構造形成 / 宇宙論 |
Outline of Research at the Start |
暗黒物質ハローを介して素粒子物理学と間接探査の観測量を直接的に対応づける新たな枠組みを構築する。宇宙観測に立脚した探査で得られる示唆を素粒子論的モデルの観点で解釈する際に課題となるのが観測量とモデルの対応づけの曖昧さであり、その解消にはハローの理解が不可欠である。本研究では暗黒物質ハローの解析的モデルに基づき、(I) 素粒子論的な暗黒物質の性質に起因して現れるハローの統計的性質や分布、(II) 間接探査における観測量の解釈にハローの物理が与える影響、を定量化する。
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Outline of Annual Research Achievements |
独自開発しているサブハローの準解析的計算スキームについて、すでに確立している部分の計算コードの改善と更なる拡張の実装を進めた。そのためにアムステルダム大学を訪問し、複数名の関連研究者と集中的な議論を実現した。 また、天の川銀河のサブハロー中に形成する矮小楕円銀河観測を利用した暗黒物質探査について、既に開発が完了している部分のコードを用いて矮小楕円銀河の暗黒物質空間密度プロファイルを求め、フェルミ衛星のガンマ線観測結果に基づき重たい暗黒物質の対消滅断面積と崩壊寿命の制限に適用した成果を共同研究論文として投稿した。矮小楕円銀河は将来実験 のチェレンコフテレスコープアレイ(CTA)計画でも重要な観測対象と目されており、その展望についてシカゴ大学で開催されたNext-generation gamma-ray searches for dark matter における招待講演、フランスで開催されたThe 34th Rencontres de Bloisにおける一般口頭講演をおこなった。これらの国際会議では宇宙及び素粒子両分野の実験・理論の専門家と多角的に議論を行い、周辺分野の状況も踏まえて今後の研究の方向性についての検討を進めた。 また、これまでの自身の研究では矮小楕円銀河について単純化されたモデルを考えてきたが、次世代実験の感度のもとではより現実的なサブハローの密度分布を考慮する必要性に鑑み、探査可能性を定量的に評価するための計算スキーム実装にも着手した。特にガンマ線での探査についてシミュレーションと解析を行う公開コードの組み込みに着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主軸となる暗黒物質ハローの部分構造(サブハロー)についての計算コードの改良と拡張が、関連する専門家との継続的な議論を行いながら順調に進められている。具体的には、宇宙論モデルに対する考察への適用に向けた一般化の実装作業、及び、ブラックホール形成条件との関連付けへの拡張検討が進んでおり、コード中の必要箇所の確定が進みつつある。また、ハロー形成条件と非ガウス性の繋がりについての新たな展開可能性も見出している。これらは帯域的なハロー空間分布についての本研究の進展と言える。 また、すでに確立した部分のスキームを用いた適用として、構造形成モデルの計算とガンマ線観測結果の解析を組み合わせた暗黒物質探査についても共同研究論文を投稿できたという成果があった。この論文は国際プロジェクトであるFermi-LATコラボレーションとして一定の論文基準を満たすものであり、内部の専門家からのフィードバックコメントも原稿中に反映させることができた。 今後の観測展望と関連した側面についても、FermiーLATよりも高エネルギーの帯域のガンマ線を使った観測について国際会議での講演実績があり、次世代実験での暗黒物質探査におけるハローの物理の理解のより一層の重要性について考察が進んだ。部分構造としての矮小銀河のハローについて、より現実的な形状を考慮した感度評価についても、観測シミュレーションを用いた定量化の準備を着実に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
宇宙論モデルを拡張した場合のサブハロー個数の予言計算については、従来よりも精度が要求されることが判明したためこの部分の計算アップデートを進める。高赤方偏移の巨大質量ブラックホールの種形成とハロー形成条件の関係、非ガウス性とハロー形成条件の関係については、研究の進展に伴い当初の研究計画を超えて生じたテーマであるため、背景状況の確認と物理過程の考察を確実に進め、計算コードへの組み込みに反映する。 並行して、次世代ガンマ線実験の装置感度・精度に照らして矮小楕円銀河のハロー密度分布構造が無視できないことがわかっているため、最新のモデル及び解析・シミュレーションツールを用いた定量的評価を進める。 本研究の解析的モデルで取り扱えていない課題として、各サブハローの空間分布があげられ、この実装を進める必要がある。方針としては、確立した部分のコードの質量損失計算と並行して、サブハローの軌道パラメータの進化を追跡する部分を加筆する予定である。この際、同じく既存の部分を用いて計算可能な親ハローの進化を直接的に反映する計画であるので、慎重に実装を進める。潮汐進化の部分の計算アップデートに必要な参考文献はすでに入手済みである。 種々の拡張部分については、物理的考察を精密に行う必要があるため、各部分の専門家と連携をとり継続的に議論を進めて行く予定である。そのための研究機関訪問等を想定しているほか、得られた成果については国内外の学会等で発表する予定である。
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