新規増炭反応を指向した金属カーバイド反応剤およびカーバイド等価体の創出
Project/Area Number |
22K14679
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 33020:Synthetic organic chemistry-related
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒木 尭 京都大学, 理学研究科, 特定准教授 (80845537)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
|
Keywords | カーバイド / 前周期遷移金属 / 原子状炭素 / スピロ化合物 / アルキリデンシクロプロパン / 錯体 |
Outline of Research at the Start |
簡便に調製・利用可能な金属カーバイド種およびその等価体として作用する反応剤を新たに開発し、金属カーバイド種によって実現できる新規有機合成反応を創出する。また、反応剤中で発生する金属種の単離・同定も行い、構造の明確な反応場として金属カーバイド種の構造、特性を明らかにし、報告例の少ないカーバイド錯体を合成する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
原子状の炭素が金属上に配位した構造をもつカーバイド錯体は錯体化学の分野において注目され、その合成法の開発や分光学的な研究が精力的に進められてきた。しかし、その反応性に関する研究は未開拓な部分が多く、有機合成において利用された例はない。本研究では、この金属カーバイド種を用いる新たな有機合成反応の開発を目的として、有機合成反応の利用を指向した簡便に調製・利用可能な金属カーバイド反応剤の開発と金属カーバイド種によって実現できる新規有機変換反応の創出を目指し研究を進めている。 2022年度では、臭化クロム(II)と四臭化炭素をTHF中で混合するだけで定量的に発生する二核構造を有するクロムカーバイド錯体をカーバイド反応剤として用いた新たな有機合成反応の開発を行った。クロムカーバイド反応剤に対して、アルケンや1,3-ジエンを作用させることで、2分子のアルケン間で二度のシクロプロパン化が進行し、スピロペンタン骨格を有する化合物が得られた。また、このクロムカーバイド反応剤に対してアルケンと同時にカルボニル化合物を作用させると、アルケンとのシクロプロパン化が起きたのちにカルボニル基のアルキリデン化によってアルキリデンシクロプロパンが生成することを発見した。これらの新たな有機変換反応は、原子状炭素と同様に振る舞うカーバイド配位子が二重カルベン性を示すことが明らかとなった興味深い反応例である。これらの結果は国内学会において成果報告をした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
クロムのカーバイド種の反応性に関する研究を進める上で二重カルベン性をもつことは二重シクロプロパン化によるスピロペンタン化合物合成から予想されてきた。しかし、アルケンとカルボニル化合物間でのアルキリデンシクロプロパンの生成から、この二重カルベン性はカルベンとしての同じ反応を二度起こすだけでなく、異なる反応性をそれぞれ組み合わせられる予想を上回る結果を与えた。
|
Strategy for Future Research Activity |
金属カーバイド反応剤としてクロムのカーバイドに着目して研究を進めてきたが、今後はクロムだけでなく他の遷移金属元素を用いた金属カーバイド反応剤の開発に着手したい。多様な遷移金属元素でのカーバイド反応剤を開発できれば、それぞれの元素の特性に応じたカーバイド配位子の反応性の多様性を期待できる。多様なカーバイド反応剤を使い分け、新たな増炭反応を鍵とする有機合成反応開発を進める。
|
Report
(1 results)
Research Products
(2 results)