DNA自己増幅ループを用いたスクリーニング不要のin vitro分子進化法の開発
Project/Area Number |
22K14794
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 37030:Chemical biology-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古林 太郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特別研究員 (20902620)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 進化工学 / タンパク質工学 / 分子進化 / ケミカルバイオロジー / 無細胞翻訳 / 人工細胞 / 指向性進化 / ダーウィン進化 / DNA複製 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、「進化ターゲットの酵素活性」を「進化ターゲットをコードしたDNAの自己複製」に変換する分子プログラム(DNA自己増幅ループ)をin vitroで実現し、従来のin vivo/vitroアプローチの長所を合わせ持つ分子進化システムの提案を行う。DNA自己増幅ループをwater-in-oilエマルションに封入した等温反応系により変異導入・機能発現・選択・増幅をワンポットで達成し、ボトルネックであったスクリーニング過程を排除するのみならず進化サイクルの各プロセスを統合し、進化の大幅な効率化を達成してin vitro指向性進化法を大きく進展させる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、進化的な手法を用いて有用な物質を進化させる「指向性進化(Directed Evolution)」の分野において、革新的なin vitro進化系を立ち上げることを目指した研究である。これまでに多様な指向性進化の手法が開発されてきたが、これらは大腸菌や酵母などの生物を用いるin vivoアプローチと、生物を用いないin vitroアプローチに大別される。前者はホスト生物を生きたまま利用するため進化ターゲットや反応条件が制限され、また後者には生物の高度な能力(複雑な反応制御や自己複製)を利用できないことにより単純な機能しか進化できない・煩雑なスクリーニング作業が必要などの欠点があった。 私は酵素活性を自己複製にカップリングさせることにより、機能の高い変異体をスクリーニングなしに自律進化させる系の構築を試みている。この手法により、従来は各ステップごとに人為的な介入が必要であった変異導入・機能発現・選択・増幅の過程をワンポットの等温反応に統合し、スクリーニング過程の排除のみならず進化サイクル全体を劇的に効率化することを目指している。 初年度はT3RNAPポリメラーゼをモデル酵素とし、その酵素活性(転写能力)が自らの遺伝子(DNA)の自己増幅へと変換される分子装置、および反応系を進化させるための微小進化リアクターの検討(w/oエマルションを用いる)を行い、進化実験のための基盤を整えた。この反応系が実際に進化に使えるかを2年目に検討する。 この研究が成功すれば、進化工学に「簡便で誰でも使える、高効率である、多種の酵素が進化できる」を満たす初めてのin vitro分子進化系がもたらされ、数多くの有用酵素を生み出す重要なプラットフォームになると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度の難関は申請書で提案したT3RNAポリメラーゼ増幅ループ反応(以下・T3ループと呼称)が ①モデル通りに動作するのか ②PURE system内でDNA低濃度(微小区画内における1分子濃度以下)から高効率で動作するか ③エマルション内で動作する条件を見つけられるか の3点であったが、これら全てに成功した上でもう一段先へと研究を進めることができた。 DNAが薄い条件では、DNA自身から翻訳されたT3RNAPポリメラーゼが薄すぎて増幅ループ反応がそもそも動作しないことが懸念であったものの、実際に構成したT3ループはわずか10fM程度と想定をはるかに下回る濃度から起動でき、試験管内では最大で10^6倍程度も複製できることがわかった。 次に、T3ループをエマルション内で動かすための生化学的な条件を検討し、1回の反応で1000倍以上も反応する条件を見つけることに成功した。 ここまでで初年度の目的を達成しているが、さらに進化の条件である「微小区画による機能性DNAの選択」が可能であるかを検討した。具体的にはエマルション内にT3RNAポリメラーゼをコードした遺伝子(機能性DNA)と、複製に関係のないタンパク質(GFP)をコードした遺伝子(ジャンクDNA)を混ぜ、微小区画内でのみ機能性DNAが選択的に増幅できることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
エマルション内でT3ループよりも単純な系(DNAがphi29ポリメラーゼをコードし、自己複製する)自己複製反応を連続継代できるかどうかのテストを始めたところであるが、3ラウンド目まではうまくいくものの、それ以後は徐々に複製能力が低下して連続継代ができなくなる問題に直面している。T3ループお場合でも連続継代が弱っていくのかどうか、もしそうであれば生化学的な原因は何なのかを究明するとともに、途中でPCR反応を挟むことで連続継代をサポートするリスクヘッジ・バックアッププランなども考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)