Project/Area Number |
22K14977
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 41050:Environmental agriculture-related
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
青木 是直 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (30784764)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | ブドウ樹内細菌叢 / 内生菌 / マイクロバイオーム / ブドウ樹内 / テロワール |
Outline of Research at the Start |
ワインの特性を表現する用語のひとつに「テロワール」がある。テロワールは、土地の要素、気候の要素、人的要素を総合した環境を示す概念とされ、明確に定義されていない。 本申請課題は、「ブドウ樹は独自の共生微生物叢(樹内マイクロバイオーム)を有している」という仮説を検証し、樹内マイクロバイオームによりブドウ樹の特性に多様性がもたらされる(テロワールが形成される)という全く新しい概念を提唱する。すなわち、我々が認識しているブドウ品種の特性はその品種の個性に依るものであるが、ブドウ樹内の樹内マイクロバイオームが変化することにより新たな個性が与えられるという革新的な概念を検証するための基盤形成を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「ブドウ樹は独自の共生微生物叢(樹内マイクロフローラ)を有している」という仮説を検証するため、ブドウ樹内におけるブドウ樹内マイクロフローラの解析を行った。日本国内の11のブドウ園から4つの品種(シャルドネ、ピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン、甲州)の新梢(新しく生えてきた枝)をそれぞれ採取した。これらから、細菌叢の16S rRNA遺伝子(V3-V4領域)を抽出し、次世代シーケンス解析により合計7,019,600個のアンプリコン配列(46,642~285,003個/新梢)と1,305個の細菌OTUが得られた。得られたデータをもとに、多様性の評価を行った。新梢において、新梢の成長促進期には品種に関係なくガンマプロテオバクテリアが優勢であり、果実成熟開始期にはアルファプロテオバクテリアとオキシフォトバクテリアが優勢であった。 甲州とピノ・ノワールの新梢における樹内マイクロフローラは、ブドウの産地に関係なく、類似していた。一方、シャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨンの細菌叢は、ブドウ栽培地域間で多様性が見られた。アルファ多様性評価では、甲州の新梢はピノ・ノワール、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨンよりも相対的に内生菌微生物群の多様性が高く、新梢成長促進期のものは果実成熟開始期のものよりも樹内マイクロフローラの多様性が高いことがわかった。多次元尺度分析では、甲州の新梢における樹内マイクロフローラは他の品種と異なることが示された。これらのことから、ブドウの新梢における内生菌の微生物相は品種によって異なること、同じ品種であってもブドウの産地によって微生物相は概ね異なること、新梢の成長段階によって樹内マイクロフローラが変動することが示唆された。 これらに加え、検出された一部の内生菌はブドウの着色不良を改善する効果が認めれらえており、論文化を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ここまでの成果により、本研究課題で挙げていた明らかにする目的である 1)ブドウ品種により樹内マイクロフローラが異なるのか? 2)同じ品種でも栽培地により樹内マイクロフローラが異なるのか? の2つの項目に対し、当初の計画通り4品種、全国11圃場からサンプルを採集し、単年での成果ではあるが、ブドウ品種および栽培地域のどちらでも樹内マイクロフローラに違いが示唆されたデータを得ている。また、これらのデータを論文化し発表している。さらに、一部の内生菌からはブドウの着色不良に対する改善効果が認めれられており、こちらも論文化を進めている(現在、American society for microbiologyに投稿中)。 以上のことから、おおむね順調に進んでいると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に引き続き、 1)同一栽培地の品種間において樹内マイクロフローラが異なるか明らかにする 2)同じ品種でも栽培地により樹内マイクロフローラが異なるのか明らかにする これらの項目に対して同一栽培地で実験を継続するとともに、3年間の研究期間において樹内マイクロフローラが年次変動するか否か検証する。加えて、研究対象としたブドウ樹の履歴(苗の購入先、クローン番号、台木の種類、樹齢、等)および各圃場での栽培作業履歴を収集し、樹内マイクロフローラの分類学的構造との相関関係を統計学的手法により解析する。 また、ブドウは台木を使用するため、台木の違いにより樹内マイクロフローラが異なる可能性も想定される。上記の1)では同一の台木(5BB)を使用した樹を対象としているため問題とならないが、2)では同じ品種でも台木が異なる可能性がある。今後の解析で台木の種類により樹内マイクロフローラが異なる可能性が顕在化された場合、山梨大学ワイン科学研究センターの品種保存圃場に植栽される(=同一条件で栽培される)「台木の異なるカベルネ―ソーヴィニヨン(同樹齢)」で樹内マイクロフローラを解析する。
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