Project/Area Number |
22K16510
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 55020:Digestive surgery-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥村 慎太郎 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (20939087)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 食道腺癌 / 歯周病原性細菌 / 腫瘍進展促進 / バレット食道 / 細胞老化 / 酪酸 |
Outline of Research at the Start |
Porphyromonas gingivalis、Porphyromonas asaccharolytica、Fusobacterium nucleatumなど大腸癌発癌促進作用のある歯周病原性細菌が食道腺癌の病態にどのように関与しているかを、Barrett食道上皮細胞株に菌の培養上清を添加しその反応をみる実験、食道腺癌組織切片の解析、マウスに菌を投与し食道腺癌発生が促進されるかを評価し検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大腸癌発癌促進作用があるPorphyromonas gingivalis, Porphyromomas asaccharolytica, Fusobacterium nucleatumの食道腺癌の発癌促進作用を検討することである。 まず食道腺癌の手術検体31例を用いて、食道腺癌組織中の細菌叢を解析した。食道腺癌組織と非腫瘍部組織とで細菌叢の大きな違いは認められなかった。一方、F. nucleatumは5例、P. gingivalisは1例の食道腺癌組織で認められた。P. asaccharolyticaはいずれの検体でも認められなかった。F. nucleatumは、in situ hybridization、qPCRでも腫瘍組織中の存在を確認した。 そこで、F. nucleatum, P. gingivalisが食道腺癌の病態に関与しているかを検討した。各菌の培養上清をBarrett食道上皮細胞株 (CP-A細胞)に投与した結果、F. nucleatum, P. gingivalisの培養上清はともにCP-A細胞の増殖を安定的に抑制した。RT-qPCRにて細胞老化マーカーであるp21、IL-1β、IL-6の発現上昇およびLamin B1の発現低下が認められた。以上より、F. nucleatum, P. gingivalisの培養上清は、Barrett食道上皮細胞に細胞老化を誘導することがわかった。次に、細胞の倍数性変化を蛍光染色で調べたが、細胞老化が誘導された細胞の倍数性は通常の細胞と違いがなかった。また、昨年度より食道腺癌発癌モデルマウスの作成を試みていたが、p16, p21DKOマウスに食道空腸吻合を施したマウスにおいて食道腺癌の発生が確認できなかったため、菌の食道腺癌発癌メカニズムへの関与について解析を続けることが困難であると判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前述の通り、本研究は当初、P. gingivalis、P. asaccharolytica、F. nucleatumの3菌種が食道腺癌の発癌メカニズムに関与するかについて、細胞老化を誘導するか、染色体不安定を惹起するかに着目して検討することを目指していた。しかし、細胞実験で菌の培養上清を投与することで染色体不安定が惹起される可能性を示すことが困難であることがわかった。また、食道腺癌発癌モデルマウスの作成も困難であった。 そこで、菌が食道腺癌の発癌を促進するかではなく、腫瘍進展に関与するかを検討することに方針転換することとした。そのため、当初の予定より研究進捗はやや遅れているが。
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Strategy for Future Research Activity |
食道腺癌組織を解析した結果、菌の浸潤部ではCD66b陽性細胞が多く、CD8陽性細胞が少ない傾向が認められたため、F. nucleatum、P. ginglivalisが腫瘍微小環境を変化させることで腫瘍進展に関与していないか、手術検体の解析を進めている。 また、食道腺癌細胞株OE-33に菌の培養上清を投与する実験において、食道腺癌組織で相関が認められる菌の浸潤と腫瘍微小環境の変化に、因果関係があるかを検討する予定である。
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