ストレスレジリエンスとしての新規体熱産生機構の解明
Project/Area Number |
22K17788
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 59040:Nutrition science and health science-related
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
大塚 愛理 近畿大学, 理工学部, 助教 (80845917)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 心理社会的ストレス / 体熱産生 / 褐色脂肪細胞 / ストレス誘発性体熱産生 |
Outline of Research at the Start |
心理社会的ストレスは精神疾患発症のリスクファクターにもなる重大なストレスであり、ストレスにより引き起こされる体熱産生は生体が恒常性を維持するために必要な適応反応である。本研究は、マウスに社会敗北性ストレスを負荷した後、サーモカメラを用いた観察などを行い、既知の経路とは異なる新たなストレス誘発性体熱産生機構の解明に挑む。また、新規体熱産生機構がストレス曝露後の行動と脳内に与える影響や、ストレス応答との関連性を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、褐色脂肪組織を介さないストレス誘発性体熱産生の新規経路の解明と、新規体熱産生経路がストレス曝露後の情動行動に与える影響を明らかにすることを目的とする。 本年度は、BAT交感神経切除マウス及びBAT切除マウスにおける体熱産生部位の特定を行った。腹腔内に体温及び行動量測定装置を埋め込み、社会敗北性ストレス(SDS)曝露後の体温変化をモニタリングした結果、BAT交感神経切除マウス及びBAT切除マウスにおいても、Sham手術マウスと同様に腹腔内体温の上昇がみられた。また、サーモカメラを用いた体表面の観察結果から、BAT交感神経切除マウス及びBAT切除マウスでは、SDS1日目の肩甲骨間の体表面温度がSham群と比較して低下した。しかしSDS3日目において、BAT切除マウスではSham手術マウスと同程度まで肩甲骨間の体温が上昇していた。そこで、これらの群において肩胛骨間の脂肪組織を採取し、体熱産生関連遺伝子であるUCP1発現を調べたところ、BAT切除マウスではBAT交感神経切除マウスよりも高い発現量を示した。また、BAT交感神経切除マウス及びBAT切除マウスにおいては、腹側において脚部の温度上昇が観察され、SDS曝露後の行動量も増加していた。そこで脚部骨格筋における体熱産生関連遺伝子であるUCP3の発現を調べたところ、大腿四頭筋においてはBAT交感神経切除マウス及びBAT切除マウスの両群で、それ以外の筋肉ではBAT交感神経切除マウスのみでUCP3発現が増加していた。以上のことから、BAT交感神経切除マウスでは脚部の体熱産生がストレス誘発性の体熱産生を保証している可能性が示された。その一方で、BAT切除群に関しては脚部体熱産生の他、肩胛骨間脂肪組織の褐色化が起こっている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度・来年度に計画した実験のうち、BAT交感神経切除マウス及びBAT切除マウスの体熱産生部位の特定が完了し、特定した部位における体熱産生に関与する遺伝子の発現増加も確認した。これらのマウスにおいて血液や脳のサンプリングも終わっており、脳内モノアミンや血中アドレナリンなどを順次解析中である。次年度行う予定であるアドレナリンレセプター阻害剤などの薬剤投与の実験については、試薬などの準備は整っており、現在予備検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果より、BAT切除マウスにおいてSDS曝露に伴い肩胛骨間の体熱産生が回復するという現象がみられた。したがって、SDSにより誘発された因子がBATの再生もしくは肩胛骨間白色脂肪組織の褐色化に関与している可能性がある。また、BAT切除マウスでは、鼠径部における白色脂肪組織のUCP1発現も増加傾向がみられており、液性もしくは神経性の刺激が白色脂肪組織の褐色化を促し、代謝亢進を引き起こしていることが示唆される。そこで次年度は、白色脂肪組織の褐色化を促す因子を特定するために、アドレナリンや甲状腺ホルモンなどの液性因子の関与や、これらの分泌に関与する脳部位の特定、また、代謝関連遺伝子の遺伝子発現解析などを行う予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)