Project/Area Number |
22K17885
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 60060:Information network-related
|
Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
工藤 寛樹 (吉川 寛樹) 京都橘大学, 工学部, 助教R (10905350)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
|
Keywords | サーモグラフィ / 体表温度 / 体温モニタリング / 機械学習 / 温熱快適性 / 屋内空調 / 生成モデル / サーマルカメラ / ヒューマントラッキング |
Outline of Research at the Start |
近年日本を含め各国のエネルギー消費は増大し続けており,その中でも大きな割合を占める空調エネルギー消費の削減は世界的に取り組むべき課題である.しかし快適な空調環境実現には一定のエネルギー消費が必要であり,無駄のないエネルギー消費による温熱快適性と省エネルギーのトレードオフを考慮した適切な空調環境づくりが求められる.そこで本研究は,既存の空調制御システムに設置するだけで導入可能な時空間的を対象とした温熱快適性マッピング技術を開発し,利用者の行動変容を促すことで温熱的に快適な屋内空調環境づくりを達成することを目的としたシステムの開発を目指す.
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,非接触な体温測定法としてサーモグラフィを用いた顔付近の体温測定に関する研究を行った.さらに,環境要因である気温等のパラメータを用いることで,快適性の要因としても注目されている深部体温推定に関する研究を行った.深部体温推定精度の評価のため,leave-one-subject-out交差検証を用いて複数のデータの組み合わせることによる精度を検証した.その結果,サーモグラフィのみを用いた場合の深部体温推定の平均絶対誤差は0.41度となり,非接触な体温モニタリングのみでも大きな精度低下を引き起こすことなく深部体温の推定が可能であることがわかった. 更に,本年度は快適な屋内空調環境作りに関する研究を進める過程で,新生児の保育器の空調環境に着目し,本年度は新生児の保育器内の空調制御に関する研究に従事した.特に,新生児にとっては保育器内の空調環境が適切であることは予後の経過にとっても重要な要因となっており,新生児の状態を反映した保育器内の適切な空調制御が求められる.現在の新生児医療の現場では,医療従事者による新生児の体温モニタリングにより,保育器の設定を手動で変更することによる制御に留まっている.そこで,温熱快適性研究に関する知見を応用し,保育器内の新生児をセンシングすることにより,快適性の重要な因子として知られている体温のモニタリングを行う.現在は貼り付け型のプローブによる体温モニタリングが主流だが,プローブが剥がれてしまうことにより測定値が安定しないことが課題の一つとして挙げられる.そこで,本年度は新生児に負担の少ない非接触の体温モニタリングのためにサーモグラフィを用いることによる体温測定のための研究を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は体温モニタリングに関する研究,およびそれらの研究成果の発表を行った.当初の研究計画を進める上で新たな課題に注目し,本研究では体表温度や深部体温のモニタリングを行う上での課題解決に取り組んだ.非接触な体温モニタリング手法としてサーモグラフィにより取得した熱画像に対して,セマンティックセグメンテーション技術を活用することで,顔の部位別の体表温度を測定するためのシステムを開発した. さらに本年度はサーモグラフィを用いた非接触な体温モニタリングによる深部体温推定手法を提案し,研究成果として実験による評価を行い非接触なセンシングのみを使用し,深部体温推定の平均絶対誤差が0.41度という結果が得られた. 本年度は上記に加え,新生児の保育器内の空調環境に注目し,体温調節機能が未熟な新生児に対して非接触での体温モニタリングの重要性をさらに探求した.現行の方法では,新生児の肌にプローブを貼り付けて体温を測定しているが,そのプローブは肌から外れることもあり,特に長期間のモニタリングには適していない.この問題を解決するため,本研究ではサーモグラフィを活用し,新生児の体表温度や深部体温の推定を行うシステムの開発を進めている. さらに,医療行為による介入時に新生児が医療従事者の腕などで覆われてしまう課題に対処するため,人体の温熱モデルを用いた体温変化のモデル化に関する研究を行った.このモデルは,サーモグラフィや保育器内の温湿度センサから得られるデータと組み合わせてリアルタイムでの体温推定を可能にする.実際に新生児から得られたデータを使用して行った評価では,体温データが得られなくなった後でも10分以内であれば深部体温を平均絶対誤差0.032度で推定できることが確認された.これにより,新生児の体温管理における非接触かつ連続的なモニタリングが実現可能であり,医療現場での応用が期待される.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方針として新生児の部位ごとの体温抽出を行うモデルの作成を考えている.既存研究ではセマンティックセグメンテーションを用いて新生児の頭や腕といった身体部位を抽出し,部位ごとの温度として出力するモデルが提案されている. しかしながら医療現場における環境の多様性,例えば、サーモグラフィカメラの設置位置や角度の違いなどがセグメンテーションモデルの性能に影響を与える可能性がある.そのような原因により訓練データの不足からセグメンテーションの精度が低下する可能性が考えられる.そのため本研究では新たな環境で収集された少量のデータを使用し,新生児熱画像の身体部位セグメンテーションモデルを異なる環境に適用するために訓練することで,異なる環境下での新生児熱画像のセグメンテーション性能の向上を図る.また実際に接触型のプローブで測定された体表温度とセマンティックセグメンテーションにより部位ごとに抽出した体温とを比較することで,セマンティックセグメンテーションモデルの性能評価を行う予定である.
|