結晶粒ダイナミクスのその場観察:PT型マントル対流における岩石流動研究の新展開
Project/Area Number |
22K18282
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Pioneering)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 17:Earth and planetary science and related fields
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久保 友明 九州大学, 理学研究院, 教授 (40312540)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥後 祐司 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, 主幹研究員 (10423435)
坪川 祐美子 九州大学, 理学研究院, 助教 (40824280)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥26,000,000 (Direct Cost: ¥20,000,000、Indirect Cost: ¥6,000,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2022: ¥16,250,000 (Direct Cost: ¥12,500,000、Indirect Cost: ¥3,750,000)
|
Keywords | 高温高圧 / 相転移カイネティクス / 放射光 / 結晶粒 / 回折斑点 / 高時空間分解能 / カイネティクス / レオロジー / 高圧変形実験 |
Outline of Research at the Start |
地球独自で駆動するプレートテクトニクス型マントル対流を理解するうえで、高圧相転移が支配する岩石の粒径進化と塑性流動のカップリングは極めて重要なプロセスであるが、大部分の岩石は実際に入手できないためその解明は非常に困難である。本挑戦的研究では粒径進化を支配するカイネティクスの正確な理解に焦点をあて、材料科学の新規手法と最新の高圧変形実験技術、次世代放射光技術といった異分野を融合し、地球深部に相当する高圧変形場でX線の回折斑点を使って個々の結晶粒の動的挙動を追跡する新たな実験手法を開発する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、1)偏向電磁石BMビームラインにおけるΔω法と角度高分解能検出器を用いた回折斑点数の定量化、2)その手法のMg2SiO4オリビンーウオズレアイトおよびポストスピネル相転移カイネティクスへの応用、3)次世代挿入光源IDビームラインを利用した高圧下高時空間分解能でのカイネティクスとレオロジーその場観察手法の開発、4)その手法のポストアンチゴライト反応カイネティクスおよびオリビンの脆性ー塑性転移領域での力学挙動への応用、5)偏向電磁石BMビームラインにおけるプレート物質のレオロジー、に関する実験研究を行った。それぞれの研究において、前年度に購入し立ち上げたフラットパネル(FP)型2次元検出器を、既存のCCDおよびFPと相補的に用いている。1)では3.3mの超長カメラ距離測定も行い、回折斑点数の定量化とその限界を確認した。2)では特にオリビンーウオズレアイト相転移においてbulk-rock dynamicsとgrain-scale dynamicsの両方のその場観察に成功し、結晶粒核生成に関する独自のカイネティクスデータが得られている。3)では昨年までの0.1秒毎の高速測定を更に発展させ、AEとの同時測定や高圧下の断層面の応力マッピング手法の開発にも取り組み、その結果4)では冷たいスラブにおけるカイネティクスを考慮したポストアンチゴライト反応の解明やオリビンの脆性ー塑性転移の詳細なその場観察に成功している。また5)ではFP型2次元検出器の高速測定を活かしながら、MORBのレオロジーやスラブの含水軟化、相転移断層形成等に関する実験研究を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)および2)では、地球内部の主要な相転移の一つであるオリビンーウオズレアイト相転移の結晶粒核生成ー成長カイネティクスが得られたことは特筆すべきことであり、この手法の今後の発展が期待できる。一方で高圧下における超長カメラ距離測定の問題点、特に放射光単色X線の強度不足がネックとなっている。それに対応するため今年度はFP型2次元検出器の冷却システムを新たに構築したが、将来的にはID光源ビームラインにおける同手法の利用が不可欠である。実際に3)、4)ではID光での高速測定を利用した新たな技術開発を進めており、高圧下での高速反応や破壊現象のその場観察において、AEとスティックスリップの同時測定や断層面応力マッピングの試みなど今後のブレイクスルーが期待できる結果が得られている。また5)ではFP型2次元検出器の高速測定を活かすことで、深部スラブレオロジーに関する着実な成果が得られている。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)2)については、IDビームラインでの適用の機会を検討しつつ、既存のBMビームラインにおいてこの手法を活用したカイネティクス実験を引き続き行う。特にオリビンーウオズレアイト相転移では、低含水量の核生成カイネティクスと成長カイネティクスを構築してスラブ環境への適用を検討し、その成果を国際誌にまとめる。3)4)では今後、ビームタイムは限られているがIDビームラインでの本格的な変形実験が可能となることから、高圧変形場にこれらの新規手法を適用し、特に各鉱物の脆性ー塑性転移の力学挙動および脱水脆性化に関する実験研究を進める。
|
Report
(3 results)
Research Products
(16 results)