Project/Area Number |
22K18372
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Pioneering)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 46:Neuroscience and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
有薗 美沙 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (90632927)
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Project Period (FY) |
2023-09-04 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥26,000,000 (Direct Cost: ¥20,000,000、Indirect Cost: ¥6,000,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥16,380,000 (Direct Cost: ¥12,600,000、Indirect Cost: ¥3,780,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
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Keywords | 培養脳スライス / Ca2+イメージング / アストロサイト / シナプス / 超解像イメージング |
Outline of Research at the Start |
従来記憶や学習は専ら神経細胞が担うものと考えられてきましたが、近年の研究によって神経細胞とは異なる「アストロサイト」という細胞の活動も重要であることが分かってきました。しかし神経細胞とアストロサイトがどのように細胞レベルまたはシナプスレベルで連携し記憶を形成するかについてはまだ分かっていません。本研究は超解像顕微鏡という細かい構造が見える顕微鏡を使ってその謎に迫ります。
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Outline of Annual Research Achievements |
本プロジェクトはアストロサイトと神経細胞の相互作用を1シナプスレベルで明らかにするものであり、両者の形態的関係と機能的関係に注目している。今年度はこの関係を明らかにするための本研究のコアとなるイメージング系の確立に従事した。 1) 標本の最適化:培養脳スライスにあらゆる蛍光タンパク質やセンサーを発現できるウイルスを感染させる系を確立し、これを共焦点顕微鏡で観察できるようにチャンバーにマウントする方法を模索した。 2) 標識スクリーニング:様々なウイルスを試すことで、神経細胞の活動とアストロサイトの活動を同時に観察できるセンサーやプロモータをスクリーニングした。当初アストロサイトの活動を緑のCa2+センサーで、神経細胞の活動を赤のCa2+センサーで観察する予定だったが、逆の方が両方の活動を観察しやすいことが明らかになった。 3)標本の培養方法の最適化:アストロサイトの形態が成熟している一方で神経細胞のviabilityが落ちていない培養期間の設定をおこなった。 4) 顕微鏡スクリーニング:共通施設にある超解像顕微鏡をはじめとする様々な顕微鏡を試し、ZEISS AiryScan2という顕微鏡で本プロジェクトで観察したい時空間解像度を概ね実現できることが分かった。観察パラメータの最適化:アストロサイトを用いてその活動と微細形態を捉えるのに適した観察パラメータを設定した。アストロサイトの速い活動を捉える一方で、細かい突起の微細構造も観察できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまではアストロサイトの活動のみを観察していたが本研究ではこれに加えアストロサイトの形態または神経細胞の活動を同時に観察するということで、複数の新しい実験系の確立が必要だった。以下の4つの点で当初予定していなかった困難があり思ったより時間を要したが、4以外は克服できた。
1)神経細胞の樹状突起スパインの活動を観察するために、脳スライスの培養期間、ウイルスの種類、Ca2+センサーの種類といった条件をそれぞれ検討する必要があった。 2)脳スライスを倒立顕微鏡で観察するために脳スライスをガラスに密着させ、下から観察する必要があったが、どうしても観察中に浮いてきてしまい、きちんと密着させる系の確立に工夫を要した。 3)脳スライスを培養しているところから共通のイメージング施設まで自転車で5分ほど要するために、この移動中に脳スライスがダメージを受けないように工夫する必要があった。 4)スパインの活動とアストロサイトの活動を同時に観察するためには観察できる深さで両方の細胞がCa2+センサーを発現する必要がある。また自発的活動を観察するため、活動が起こるタイミングや場所を制御できない。今の条件では観察できる可能性が低すぎるため、この確率を上げていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は確立したイメージング系を用いて「アストロサイトの活動や形態」と「シナプスの活動」の関係について調べる。具体的には以下の実験を行う。
1)アストロサイトとシナプスの活動の同時イメージングを行うことで両者の活動の時空間ダイナミクスの相関を調べる。特にアストロサイト突起で以前に観察された局所的で速い活動とシナプス(樹状突起スパイン)の活動との関係に着目する。 2)アストロサイトの形態とシナプス/樹状突起の活動の同時イメージングを行う。特に同じアストロサイトに接するシナプスや樹状突起の活動の間に何らかの相関が見られるかを検証する。 3)アストロサイトの活動を操作する方法を確立する。アストロサイトのCa2+シグナルを亢進するためにchemogenetics/optogeneticsを用いた方法、Ca2+シグナルを阻害するためにCa2+チャネルのノックアウトマウスの使用を検討する。
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