Project/Area Number |
22K19342
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 45:Biology at organismal to population levels and anthropology, and related fields
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
本郷 裕一 東京工業大学, 生命理工学院, 教授 (90392117)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 細胞内共生細菌 / 寄生 / ゲノム進化 / 原生生物 / メタゲノム / 遺伝子水平伝播 / 細胞内共生 / シロアリ / ゲノム / 共生 / 昆虫 |
Outline of Research at the Start |
異種生物間での遺伝子水平伝播は、生物進化において大きな役割を果たしてきた。しかし、特に真核生物と細菌との間の遺伝子水平伝播は、長い進化時間で稀に生じる現象であるため、その研究は一般に困難である。本研究課題では、シロアリ腸内共生原生生物と、その細胞にさらに共生する細菌との間で高頻度な遺伝子水平伝播が見られることに着目し、真核生物と細菌間で相互に水平伝播した遺伝子の進化過程解明を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、単細胞真核生物(原生生物)と原核生物(細菌・アーキア)間で水平伝播した遺伝子の進化過程解明を目的としている。具体的には、シロアリ腸内原生生物の核ゲノム配列と、同原生生物に特異的に細胞内共生する原核生物のゲノム配列を取得し、互いに水平伝播した遺伝子/ゲノム領域を特定し、水平伝播後の進化過程を推定するものである。シロアリ腸内原生生物には宿主種に特異的かつ多様な系統群の細菌が細胞内共生しており、こうした研究課題の材料としては最適と考えている。 2023年度は、2022年度に引き続き、多様な細菌系統群の複数種の原生生物細胞内共生細菌ゲノム配列を再構築した。特に本課題で焦点を当てている細菌系統群の一つであるクロストリディア綱の複数種の完全長ゲノム配列取得に成功し、そのゲノム中に多数の真核生物由来と考えられる遺伝子が存在することを見出した。これら遺伝子の分子系統解析を実施したところ、半数ほどは宿主原生生物種あるいはその近縁系統群の遺伝子に最も近縁であり、宿主原生生物から水平伝播で獲得した可能性が極めて高い。また、それら共生細菌種だけではなく、データベース上にある近縁な細菌ゲノム配列を解析しても同様の結果であった。つまり、この細菌系統群の進化戦略として、宿主真核生物の遺伝子を取得して宿主細胞の防御機構等を操作する可能性がある。ただ、今のところ、宿主原生生物からの遺伝子水平伝播過程が辿れるほどに原型を留めた状態での遺伝子は見つけられていない。本成果は、微生物生態学分野のトップ雑誌であるThe ISME Journalに2023年11月に掲載された。今後は、さらに宿主原生生物ドラフトゲノム配列の解析を進め、比較作業を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、原生生物細胞内共生細菌複数種に宿主原生生物由来配列が存在し、それが共生関係構築に進化上必要であったのではないか、という考察を含む論文を掲載することができ、一定の成果を形にできた。そこに注力した結果、原生生物ゲノム解析の方はやや遅れているが、全体としては概ね順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、多様な原生生物細胞共生細菌ゲノム配列を再構築して解析中である。2024年度も共生細菌・宿主原生生物双方のゲノム解析と水平伝播箇所の比較を進めていくが、原生生物のゲノム解析の方にさらに注力する必要がある。全体としては概ね計画に変更はない。
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