Project/Area Number |
22K19483
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 51:Brain sciences and related fields
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
水関 健司 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (80344448)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 海馬 / 前頭前野 / 扁桃体 / セルアセンブリ / 記憶 / 睡眠 / レム睡眠 / ノンレム睡眠 / 発火頻度 / 脳領域横断的相互作用 / 同期活動 / 多脳領域同時大規模電気生理学計測 |
Outline of Research at the Start |
各脳領域において、同期して活動する神経細胞の集団(セルアセンブリ)が記憶に関わる。しかし「セルアセンブリが領域をまたいでどのように相互作用して記憶の一連の過程に関わるか」は不明である。本研究は、恐怖記憶の形成前から消去後まで連続して、ラットの海馬・扁桃体・前頭前野からそれぞれ数百個の神経細胞の活動を同時記録し、記憶を支える脳領域横断的なセルアセンブリ相互作用の時空間ダイナミクスの解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
記憶には複数の脳領域が関与し、各脳領域において同期して活動する神経細胞の集団(セルアセンブリ)が関わる。しかし、「セルアセンブリは領域を跨いでどのように相互作用して記憶の一連の過程に関わるか」という根本的な問いは未解明である。この状況を打開するため、我々は多脳領域同時・大規模電気生理学計測と条件付け学習を組み合わせ、条件付け学習による記憶の形成前から消去後まで連続して海馬・扁桃体・前頭前野の神経活動を記録した大規模なデータを数理的に解析することで、記憶を支える脳領域横断的なセルアセンブリ相互作用の時空間ダイナミクスを明らかにすることを目指した。まず、記憶の形成時や想起時に、非条件刺激、条件刺激、立ちすくみ反応を表現する神経細胞群を同定した。次に、それらの細胞群が記憶の固定化に重要と考えられている睡眠時にどのように活動するかを調べた。その結果、海馬・扁桃体・前頭前野において、多くの細胞がレム睡眠中またはノンレム睡眠中に活動が亢進すること、レム睡眠中に活動が亢進する細胞とノンレム睡眠中に活動が亢進する細胞では、記憶の形成時と想起時の反応や、高周波の脳波による活動の変調に有意な差があることを見出した。さらに、記憶の消去の前後で、海馬・扁桃体・前頭前野ではセルアセンブリの安定性が異なること、領域の組み合わせによってセルアセンブリの同期性が異なることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
条件付け学習による記憶の形成前から消去後まで連続して、海馬・扁桃体・前頭前野の神経活動を記録した大規模なデータを数理的に解析した。その結果、海馬・扁桃体・前頭前野において、多くの細胞がレム睡眠中またはノンレム睡眠中に有意に活動が亢進すること、レム睡眠中に活動が亢進する細胞とノンレム睡眠中に活動が亢進する細胞では、記憶の形成時と想起時の反応や、高周波の脳波による活動の変調に有意な差があることを見出した。さらに、記憶形成の前後で、海馬・扁桃体・前頭前野ではセルアセンブリの安定性が異なること、領域の組み合わせによってセルアセンブリの同期性が異なることを見出した。加えて、記憶の形成前から消去後まで連続して観察できる新規行動実験を開発した。以上の進展状況から、研究がおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に引き続き、海馬・扁桃体・前頭前野に存在する、レム睡眠中に活動が亢進する神経細胞群とノンレム睡眠中に活動が亢進する神経細胞群が、睡眠中ならびに記憶の形成時や想起時に、どのように脳領域横断的に相互作用するかを調べる。具体的には、相互相関関数を使って細胞集団間の活動の相関を解析し、細胞集団同士の脳領域を跨いだ同期活動が学習の過程でどのように変化するかを調べる。さらに、海馬・扁桃体・前頭前野の脳波と細胞集団の活動の相関を発火位相相関・相互相関関数を用いて調べ、細胞集団間の相互作用の様式を明らかにする。特に記憶の過程や領域の組み合わせによって、細胞集団間の相関や、ネットワークオシレーションと細胞集団の同期活動の相関が変化する様子を精査する。 さらに、記憶の 形成・消去の前後で、海馬・扁桃体・前頭前野ではセルアセンブリの安定性が異なることと、領域の組み合わせによってセルアセンブリの同期性が学習により異なるメカニズムを明らかにする。 以上の成果を2つの論文にまとめる。
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