Project/Area Number |
22K19623
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 57:Oral science and related fields
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
沢 禎彦 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (70271666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 幸成 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00571811)
寺町 順平 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (20515986)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
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Keywords | COVID-19 / SARS-CoV-2 / TLR7 / エクソソーム / 染口腔上皮 / 口腔 / 肺 / 上皮 |
Outline of Research at the Start |
この研究は、いわゆるコロナウイルスが感染した口腔粘膜において、ウイルス感染細胞の出す特有の分泌物が血中に入り、循環系を介して肺に達し異常な肺炎を引き起こす可能性を解明します。また、独自に作製したコロナウイルス抗体を、生体に悪影響のない細胞分泌物に閉じ込め、血中に入れてウイルスを中和する創薬展開を目的とします。コロナの急性呼吸器不全症候群に口腔医学から挑戦する意義があります。
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Outline of Annual Research Achievements |
COVID-19 における急性呼吸器不全症候群ARDS発症機序の解明は喫緊の課題である。SARS-CoV-2ウイルスゲノムが細胞内に侵入してTLR7など一本鎖RNAウイルスの細胞内パターン受容体で認識されるとIL-6Rが可溶性IL-6Rに変換してIL-6-sIL-6R複合体が過剰形成され、この複合体蓄積が気管支・肺胞上皮にNF-kB過剰活性化によるIL-6 アンプを引き起こす。本研究は、SARS-CoV-2 感染口腔上皮エクソソームの循環系を介した口肺連関によるIL-6 アンプ誘導の証明を目的とする。本年度は、培養細胞由来エクソソームの分離について、大量のエクソソームドナーとなる間葉系幹細胞を指標に、エクソソームのドナー細胞指向性による送達の証明のため、口腔粘膜上皮を蛍光標識リコンビナントSARS-CoV-2スパイク・ヌクレオカプシド蛋白にて添加培養を行なった。この結果、細胞におけるSARS-CoV-2スパイク・ヌクレオカプシド蛋白の存在が免疫染色で証明され、さらには、培養上清にSARS-CoV-2スパイク・ヌクレオカプシド蛋白を含有するエクソソームマーカー陽性構造物を検出することができたため、口腔粘膜上皮におけるSARS-CoV-2の感染とこれに伴うSARS-CoV-2成分含有エクソソーム放出の可能性を間接的に証明できたと考える。さらに、エクソソームを投与した培養ヒト末梢血単球細胞におけるIFNβ、TNFα、IL-6、sIL-6R分泌量の増大を確認することができた。現在、培養ヒト末梢血CD4+/8+ T細胞, CD19+ B細胞, CD14+単球細胞におけるIFNβ、TNFα、IL-6、sIL-6R分泌量の増大、およびTLR7活性化経路の信号増加とNF-kB, IRF3などの関連転写因子の核内移行を確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、リコンビナントSARS-CoV-2添加培養口腔粘膜上皮細胞由来エクソソームの分離を行なった。口腔粘膜上皮を蛍光標識リコンビナントSARS-CoV-2スパイク・ヌクレオカプシド蛋白にて添加培養し、上清に放出されたエクソソームを超遠心分画・ポリマー沈殿・エクソソームマーカー抗体の免疫沈降法で分離した。続いて、収集したエクソソームを投与して培養したヒト単球細胞において、炎症性因子IFNβ、TNFαおよびIL-6、さらにsIL-6Rの分泌量の増大をELISAで確認することができた。現在、ウイルス蛋白特異抗体をロードした改変エクソソームを試行錯誤して継続している。また、収集したエクソソームによる、種々の培養ヒト白血球におけるIFNβ、TNFα、IL-6、sIL-6R分泌量の増大をELISAで確認し、TLR7活性化経路の信号増加とNF-kB, IRF3などの関連転写因子の核内移行を免疫染色とW Bで確認している。また、COVID-19重症化研究モデルとして多くの報告のあるハムスターを用いてエクソソームによる肺の炎症・蛍光エクソソーム分布を分析する準備として、通常のマウスを用いてエクソソームの尾静脈投与による肺の炎症・蛍光エクソソーム分布と炎症反応の亢進の解析に着手しており、研究の進捗は概ね順調と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
蛍光標識リコンビナント蛋白を界面活性剤処理とエレクトロポレーション、凍結融解サイクル・サポニン膜透過処理でエクソソームにロードさせ、マイクロフルイディック分析でSARS-CoV-2蛋白搭載改変エクソソームを作製中である。一方、本年度の研究過程で、培養ヒト末梢血CD4+/8+ T細胞, CD19+ B細胞, CD14+単球細胞におけるIFNβ、TNFα、IL-6、sIL-6R分泌量の増大、およびTLR7活性化経路の信号増加に関して、所有する吸光プレートリーダーの測定限界と蛍光プレートリーダーの必要性を痛感しており、購入の準備をしている。動物実験に関して、COVID-19重症化研究モデルとして多くの報告のあるハムスターを用いた実験を行い、humane endpoints・カプランマイヤー生存曲線・肺の炎症・蛍光エクソソーム分布を分析する。末梢血から白血球を採取して抗原提示細胞数をフロー分析、また炎症反応の亢進について、血液分析を外注する。さらにこの肺組織全遺伝子におけるIL-6アンプ関連遺伝子発現の時系列的プロファイルデータについて、アルゴリズム主要部分を拡張したモデル制約つきガウス混合モデルとベイズ推定にてクラスタリングを行う予定である。
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