脳腫瘍移行性の高い免疫細胞の探索と免疫細胞への薬物搭載による脳腫瘍治療法の開発
Project/Area Number |
22K19897
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Research (Exploratory)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Medium-sized Section 90:Biomedical engineering and related fields
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
清水 太郎 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 特任助教 (30749388)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 竜弘 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (50325271)
異島 優 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 准教授 (00457590)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
|
Keywords | 脳腫瘍 / 免疫細胞 / 薬物送達 / 遊走 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、脳腫瘍移行性の高い免疫細胞を探索するとともに、腫瘍環境調節によって免疫細胞移行性を向上させ、最終的に免疫細胞に搭載した抗がん剤によって脳腫瘍を治療する。脳腫瘍の中で最も一般的なGlioblastomaは、中枢神経系に生じるがんの17%を占め、悪性度が非常に高く、平均生存率はわずか12-15ヶ月である。治療法として、外科療法、放射線療法、化学療法があり、新規低分子薬物や抗PD-1抗体による治療も試みられているが、期待された成果は得られていない。本研究を通して、従来の技術では薬物送達できない領域・疾患への応用が可能な新たなモダリティの構築が期待される。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脳腫瘍移行性の高い免疫細胞を探索するとともに、腫瘍環境調節によって免疫細胞移行性を向上させ、最終的に免疫細胞に搭載した抗がん剤によって脳腫瘍を治療する。免疫細胞は炎症に応答して能動的に遊走する性質を持つため、新規の薬物送達システムとして注目されている。実際以前研究代表者は、脾臓細胞から得られた免疫細胞に抗がん剤封入リポソームを搭載し、肺同所がんモデルマウスに投与すると、マウスの生存期間が有意に延長することを明らかにしている。一方で、脳は全身の免疫系から隔絶された組織と考えられていたため、免疫細胞の脳移行性に関する知見は乏しい。そこで本研究では、脳腫瘍へと移行しやすい免疫細胞を同定するとともに、免疫細胞の遊走を促進する手法の確立を行う。また、抗がん剤を免疫細胞に効率的に搭載する方法論を構築し、効率的な脳腫瘍治療法を確立する。 当該年度はまず脳腫瘍移行性の高い免疫細胞の同定を行った。脳腫瘍同所移植モデルマウスを作製した後、腫瘍組織に浸潤している免疫細胞をフローサイトメトリー解析した。免疫細胞の中で、骨髄系細胞が占める割合が大きく、T細胞やB細胞の浸潤はわずかだった。次に免疫細胞への薬物搭載について検討した。マレイミド末端PEG修飾リポソームに抗がん剤を封入し、免疫細胞表面にリポソームを搭載することに成功した。また高濃度のグルタチオン存在下においてリポソームが放出されることを明らかにした。免疫細胞を用いた脳腫瘍への薬物送達に関する基礎的知見を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳腫瘍モデルマウスを作製することに成功し、脳腫瘍に移行しやすい免疫細胞候補を見出すことができた。また抗がん剤を搭載したナノ粒子を免疫細胞に搭載することにも成功した。当初予定していた本年度の検討は終了しており、おおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後調製した抗がん剤搭載免疫細胞を脳腫瘍モデルマウスに投与し、治療効果・安全性を評価する。治療効果は、マウスの体重減少、生存率、脳のHE染色や免疫染色によって評価する。また投与した薬物が脳に到達しているかを評価する。安全性評価としては、各種血液学的パラメータの測定や、脳以外の組織のHE染色によって組織障害を評価する。免疫細胞として脳腫瘍移行性が高かった骨髄系細胞(単球、マクロファージ、樹状細胞など)を選択するが、それでも十分な量の免疫細胞が脳に到達できない可能性も考えられる。そのため、薬物や外部刺激を組み合わせることによって免疫細胞の脳内移行を促進する手法を探索する。具体的には、免疫細胞の浸潤を促すケモカイン放出を誘導する抗がん剤の使用や温熱処理による免疫細胞浸潤誘導が可能か評価する。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)