Project/Area Number |
22K19975
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0101:Philosophy, art, and related fields
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
豊平 太郎 立命館大学, 産業社会学部, 授業担当講師 (20960975)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 技術哲学 / スペイン哲学 / オルテガ・イ・ガセット / エドムンド・オゴルマン / メキシコ歴史主義学派 / ラテンアメリカ哲学 / アメリカの発明 / スペイン語圏思想 / 歴史主義 / 文化相対主義 / 芸術 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、スペイン語圏におけるホセ・オルテガ・イ・ガセットから始まる技術哲学の系譜を辿り、その影響関係や思想的特質を明らかにする。技術を主題として取り上げた最初の哲学者の一人であるオルテガは同時代に技術について思索した従来の人文主義的な技術哲学の伝統とは異なる特徴を持つ技術哲学を打ち立てた。オルテガ哲学から出発するスペイン語圏の技術哲学が本質的に技術的な存在としての人間概念に基づき、先端技術との積極的な共生を目指す、実践的な思索を展開してきたことを示す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究はスペインの哲学者ホセ・オルテガ・イ・ガセットから始まる現代スペイン語圏における技術哲学の系譜を検討するものである。2023年度においてはオルテガが科学技術と「大衆-人」の関係をどのように捉えていたかを倫理学的な側面、特にハンナ・アレントの「悪の凡庸性」概念から検討し、CANELA (日本・スペイン・ラテンアメリカ学会)において研究発表を行った。 またオルテガから多大な影響を受けたメキシコ歴史主義学派(historicismo mexicano)を代表する思想家・歴史学者であるエドムンド・オゴルマンにおける「アメリカの発明/発見」と現代技術の関係について研究を進めた。 まずオゴルマンにおける「アメリカの発明」概念と現代技術の認識論的条件の関係を扱った研究発表を第21回アジア太平洋カンファレンス(立命館アジア太平洋大学主催)におけるパネル発表「For the Thinking of “Diversification”: Critical Investigation from Post-Western Philosophies and Encounter with Global Society Today」において行った。 次にオゴルマンにおける「アメリカ発見の観念」の歴史と現代技術成立のための歴史的・認識論的契機としての「資源としてのアメリカ」観の関係を扱った研究発表を「若手研究者シンポジウム『ラテンアメリカにおける文化と権力』」(スペイン科学研究高等評議会 CSIC所属スペイン・イスパノアメリカ研究所主催)において行った。 これらの研究においてはオルテガの方法論から多大な影響を受けたオゴルマンが「アメリカの発明/発見」と現代技術成立のための認識論的条件をその時代の「信念の体系」との関連から分析していることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スペイン語圏の技術哲学についての文献の収集と分析をする中で、当初は研究の対象に入っていなかったメキシコ歴史主義学派のエドムンド・オゴルマンの「アメリカの発明」概念の重要性が明らかになった。「アメリカ」という概念はヨーロッパ文明が存在してはいけないはずの「地の島」の「第4の部分」を受け入れるために、複雑な解釈学的過程を経て「発明」したものであるというオゴルマンの議論は技術論のみならずその後のラテンアメリカ哲学の流れそのものに多大な影響を与えているため、当初の予定を変更して優先的に検討する必要があった。そのため今年度は全体的に進捗が遅れ気味となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はホセ・ガオス、エドムンド・オゴルマンにレオポルド・セアを加えたメキシコ歴主義学派における技術論とそれに対するオルテガの影響を中心に研究を進める。それに加えて当初から予定していたディエス・デル・コラール、ガルシア・バッカ、エルネスト・マイス・バジェニージャの技術哲学についても分析を進める。特にオルテガから派生した「マドリッド学派」に属するホセ・ガオスがメキシコに亡命したことにより形成されたオゴルマン、セアらの「メキシコ歴史学派」とディエス・デル・コラールらのスペインの「オルテガ歴史学派」は共にオルテガ哲学の影響を受けているにもかかわらず、その方法論においても技術論においても興味深い相違点を示しているため、その点を中心に比較研究を進めることを考えている。同時にマイス・バジェニージャにおける「技術的理性」と「大学」の関係についての研究も準備している。
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