Project/Area Number |
22K19979
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0101:Philosophy, art, and related fields
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Research Institution | Professional College of Arts and Tourism (2023) Mukogawa Women's University (2022) |
Principal Investigator |
岡元 ひかる 芸術文化観光専門職大学, 芸術文化・観光学部, 助教 (30964217)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 舞踏 / 継承 / 暗黒舞踏 / 土方巽 / 舞踊の継承 / 器官なき身体 / 舞踊学 / 振付 / Reenactment |
Outline of Research at the Start |
戦後の日本で生まれた舞踏/BUTOHは、近代への反抗として登場した。その創始者である土方巽の美学は、先達が示す手本を若手が真似て学ぶという、家父長制的・系譜的な踊りの継承と根本から対立する。そのため舞踏は土方に端を発してはいても、世界各地の極めて幅広い表現に派生している。この状況は、舞踏の継承を時間的観点から語ることを困難にしてきた。一方で欧米のダンス研究の文脈では、特に2000年代から踊りの継承を問い直す動向が活発化し、従来の継承概念に代わる「再活性化(Re-enactment)」の発想が打ち出されている。本研究はこの動向に着目しながら、系譜的モデルを超えた舞踏の「継承」のあり方を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
R5年度は、日本発祥の舞踏/ BUTOHから影響を受けた、コンテンポラリーダンスの振付家の動きのメソッド開発に着目し、その成果を投稿論文として芸術文化観光専門職大学の紀要雑誌に投稿した(現在、査読結果待ち)。ここでは主にジョルジオ・アガンベンが論じた「潜勢力」や禅の思想を参照しつつ、踊りの文脈における能力概念を検討した。また舞踏家・室伏鴻の美学や実践が次世代のアーティストに与えた影響に関する一つの知見を得た。加えて、舞踏家・土方巽に師事した現役舞踏家へのインタビュー調査も前年度に引き続いて実施し、博士論文の出版に向けた準備を進めた。 年度末には、本研究とアーティストの創作を架橋する可能性とその方法を探る機会として、学外プロジェクト「ドラマトゥルク・ミーティング ドラマトゥルクがいると何が生まれるか? 実践的思考と創造プロセスの生成」に参加し、一般の参加者に開かれた対談、シンポジウム、ワークショップの形式でのアウトプットを行った。ダンス研究が、現場の実践と有機的かつ倫理的に交流しうる方法を検討した。 一方で、本年度の秋より所属機関が変わり、新たな学内業務に多くのエネルギーを要したため、当初の想定どおりには文献研究やフィールドワークを行えなかった。そのため舞踏に関する博士論文出版に向けた計画もやや遅れ気味となった。これらについては、今後本格的に取り組む課題としたく、そのための資金を次年度に繰り越した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
急な転職に伴う職場環境と業務内容の変化があり、科研費申請当初に計画していた研究時間が確保できなかった。しかし論文投稿などの形ですでに一定の成果は得られたことから、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで実施できなかったフィールドワークを行うと共に、本研究課題と深く関連する博士論文の書籍化に向けた調査や加筆修正などを行う。今後に向けては、文献調査に基づきながら、ダンスにおける可能性概念をさらに深く検討してゆく。R6年度の後半には、それらの成果を学会発表などで形にする予定である。
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