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新第三紀堆積岩における応力場と変形史の解明 -北海道北部、幌延地域を例として-

Research Project

Project/Area Number 22K20083
Research Category

Grant-in-Aid for Research Activity Start-up

Allocation TypeMulti-year Fund
Review Section 0104:Geography, cultural anthropology, folklore, and related fields
Research InstitutionJapan Atomic Energy Agency

Principal Investigator

田村 友識  国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料・バックエンド研究開発部門 幌延深地層研究センター, 研究職 (00967424)

Project Period (FY) 2022-08-31 – 2025-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Keywords小規模断層 / 変動地形 / 大曲断層 / 断層内物質 / 岩盤の強度・剛性 / 断層 / 新第三紀堆積岩 / 内陸地震 / ひずみ集中帯
Outline of Research at the Start

本研究は幌延地域におけるマップスケールの断層だけでなく、小規模な割れ目や断層(小規模構造)にも着目した詳細な地形・地質調査を実施することで、マイクロスケール~メソスケールの断層の特徴や変形履歴を明示する。このような小規模構造の連続性、分布、記載的特徴、地域の応力場や構造発達プロセスとの関連性を明らかにすることで、これまで見逃されてきた小規模構造を考慮した断層モデル(地質構造モデル)の構築を目指す。

Outline of Annual Research Achievements

本年度は上幌延地域にある採石場サイトを重点的に調査した。本研究では当サイトの中でも、露出状況が十分であり、地形的に表れているリニアメントや大曲断層のダメージゾーンから有意に離れた場の断層記載を実施することとした。
本年度の野外調査では合計66条のせん断面を認定することができ、現地のせん断面観察や断層岩試料の作製・観察により運動センスを判定した。その結果、幌延地域における現在の東西圧縮応力場(以下、「広域応力場」と示す)に調和的であるせん断面を確認できた一方で、高角傾斜の正断層(せん断変位量は約1m程度)も確認することができた。本正断層は層理面に平行な断層を切断することから、従来記載されてきた層理面に斜交する断層と同様に、幌延地域における現在の広域応力場のもとで動いたと考えられる。しかしながら、本正断層の姿勢や運動センスは、現在の広域応力場や大曲断層沿いの応力場を想定してもミスフィット角が30度以上となり、いずれの応力場でも説明が難しい。したがって、本正断層は局所的に発生した応力場のもとで動いたものと考えるのが妥当である。なお、本年度の野外調査にて得られた断層スリップデータ用いて応力逆解析を実施しているが、現状のところ解がうまく収束していない。このことは、本サイトにおいて広域応力場のみならず、局所的に発生した応力場も存在していることと矛盾しない。
また、本研究では岩盤の強度や剛性を検討すべく、エコーチップによる計測や一軸圧縮試験も実施した。その結果、正断層を確認できた場と広域応力場に応じて動いた断層が存在する場には、両者で強度の計測値に差があることが認められ、前者の場は比較的低く、後者の場は比較的高い傾向にある。以上の結果から、同一岩相・同一サイトであるにも関わらず、場によって運動センスや応力場の違いが生じる要因として、周囲の岩盤の強度や剛性が関与している可能性が示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では小規模構造に着目し、これらの変形も含めた場の検討を進めることで、これまで見逃されてきた小規模構造による局所的な変形も考慮した断層モデルの構築を目指している。本年度の調査では特に、小規模断層の連続性や変位量、運動センス、小規模断層どうしの切断関係といった記載的特徴を明らかにし、幌延地域の応力場や構造発達過程(変形史)とを紐づけながら整理・検討を実施した。本年度の調査結果としては、前年度に引き続き当初の作業仮説であった小規模断層の存在、すなわち、小規模断層による変形を認めることができた。一方で、従来の研究においてこれまで見逃されてきた、正断層センスを伴う小規模断層の認定により、幌延地域における応力場には広域応力場だけでなく、局所的な応力場の存在も想定するに至っている。以上の取り組みや検討結果は、当初計画どおりのアプローチに基づき得られた成果であるため、研究計画に沿って概ね順調に進められていると考える。
さらに、本年度の調査・解析・検討のなかで認定した局所的な応力場の存在は、周囲の岩盤の強度や剛性の違いという力学的・物性的観点と結び付けることで、現象理解を進めている。なお、岩盤の強度や剛性の計測・検討は当初の予定にはなかった取り組みである。元々の研究計画では地形学的・地質学的な調査・解析による研究計画遂行を目指していた。それに加えて、本年度は力学的・物性的アプローチも組み込みながら進めることができていることから、研究の実働としては大きく進展できていると考える。ただし、研究内容の成果公表については、やや遅れ気味であるため、今後は調査・解析・検討といった研究活動のさらなる進行のみならず、学会発表や論文投稿などの成果公表にも注力する必要があるといえる。
以上のことから、現状の研究や成果公表の進捗状況を総合的に判断すると、本事業全体としては概ね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

本年度では、特に上幌延における採石場サイトの重点的調査によって、小規模断層の基本的な性状を観察・記載するとともに、周囲の岩盤の力学的・物性的特徴を計測することで、一定の成果を得ることができた。しかしながら、本年度の成果は採石場サイトにのみ限った結果であるとも言えるため、それ以外の調査サイトでさらなるデータの蓄積・比較検討を実施することで、成果の普遍性を確かめることも必要であると考える。
そこで次年度では、厳冬期以外の期間においては引き続き野外の調査に尽力し、採石場サイトも含め、それ以外の調査サイトにおいても小規模断層の調査を進めることとしたい。一方で、幌延地域は厳冬期になると野外調査が大きく制限されることから、この時期は代表者が執務する幌延深地層研究センターの地下研究施設を利用して検討を進めたいと考えている。現在、同センターでは地下の掘削が進行中であるため、代表者はトンネル岩盤(同施設の基盤岩は珪質泥岩ないしは珪藻質泥岩であり、採石場サイトと同じ岩相)や小規模断層の記載を実施しつつ、地下施設の既存データを取りまとめ、地質情報の整理を行う予定である。このような地下深部の地質情報と、野外調査によって得られた地表のデータを比較検討することで、本研究の成果をより強固なものにする方針である。
一方で成果公表という観点としては、小規模断層の簡単な記載結果を除いて、得られた成果の多くが未公表という状況であり、想定よりも公表ペースがやや遅れ気味である。このような状況であることを踏まえ、成果公表についても着実に実施する必要があると考えている。そこで次年度では、学会発表や論文投稿に向けて、成果の取りまとめを行うこととしたい。
以上のように、次年度ではさらなる地形・地質調査、およびそれらの解析や検討を実施するとともに、成果の公表(論文や学会発表など)にも努めることで本事業の完遂を目指す。

Report

(2 results)
  • 2023 Research-status Report
  • 2022 Research-status Report
  • Research Products

    (2 results)

All 2023

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 新第三紀堆積岩に発達する小規模なせん断面の解析2023

    • Author(s)
      田村友識・石井英一
    • Organizer
      日本地質学会第130年学術大会 2023京都大会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] 地形・地質調査に基づいたひずみ集中帯における上部地殻の変形像: 山陰ひずみ集中帯を例として2023

    • Author(s)
      田村友識・大橋聖和
    • Organizer
      日本地球惑星科学連合2023年大会
    • Related Report
      2023 Research-status Report

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Published: 2022-09-01   Modified: 2024-12-25  

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