Project/Area Number |
22K20266
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
:Education and related fields
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Research Institution | Chubu Gakuin College |
Principal Investigator |
遠座 未菜 中部学院大学短期大学部, 幼児教育学科, 助教 (50964607)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 保育 / 集団遊び / 自閉スペクトラム症 / 幼児 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、自閉スペクトラム症(ASD)幼児など対人関係に援助を必要とする幼児の、保育施設での集団遊び場面における他者との関係の発達とその要因を明らかにすることを目的とする。保育施設での対象児の観察と、担任保育者へのインタビュー調査から、他者との関係の発達を検討する。併せて、先行研究において明らかにされているさまざまな集団遊びの特質から導出した、集団遊びとASD幼児と他者との関係の発達の理論仮説から、集団遊びにおける対人関係に援助を必要とする幼児の発達の要因について検討することで、集団遊びがもつ他者との関係を引き出す仕組みの構造化を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、保育施設における集団遊び場面で、自閉スペクトラム(ASD)幼児やその傾向がある幼児の他者との関係の状態を捉え、その状態や関係がどのように変化するのか、加えてその理由を明らかにすることである。 2022年度に引き続き、保育施設での観察と面談を実施した。2023年度は新たに対象となった4歳男児を含むクラス全体の観察を週に1回、午前中の2時間程度実施し、月に1回程度の担任保育者との面談を実施した。前年度と同様に、まずは対象クラスの子ども達に慣れてもらうことを目的とした訪問から始め、次第に慣れたところで観察を開始した。 集団遊びの場面では、ルール理解が難しいために他児と同じルールのもとで遊ぶことが難しく、他児と揉めたり、理解できないことを指摘され参加をやめてしまう姿がある一方で、ルールが理解できていないように思われる言動があった場合にも楽しく遊ぶ姿も見られた。また、ルール理解ができていたとしても、途中で遊びを離れることもあった。これらのことから、関係性の把握だけではなく、集団遊びのルール理解の程度も重要であると考えられた。ままごとなどのルールはないが、共通のイメージが必要となる遊びに関しては、他児のイメージを共有することは難しいが、保育者の援助によって対象児のイメージを他児が理解することで遊びが繋がっていくことが観察された。しかし、繋がったように見えても対象児のイメージの変化に他児がついていけていないと思われる場面もあったことから、より詳細な読み取りと分析が必要である。 分析視点に関しては、楽しむ姿を捉えるために「ノリ」という概念を使用することが出来ると考えられたため、子どもの遊び場面で使用されている「ノリ」という言葉を中心に先行研究における定義をまとめ、ASD傾向のある幼児の遊びの姿の捉え方について考察し、発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では1年目に、集団遊びそれぞれにおける幼児の発達の固有性について検討したが、それを踏まえた上で、観察を実施することができた。集団遊びには、ルールがあるドッジボールやおにごっこといったものもあれば、おままごとのようにイメージを共有するものなどもある。それぞれの遊びにおいて、何が対象児と他児を繋ぐ役割を果たしているか、一方で何が繋ぐ障壁となっているのか事例をもとに分析することができた。進捗状況としてはおおむね順調ではあるが、対象児が4歳児だったこともあり、5歳児ではさらに他児との関係性が広がっていくと思われ、引き続き観察が必要である。 また、2023年度も事例や書籍を通してインルーシブ(な)保育に関する知識を深めることができた。2022年度に実施したスウェーデン訪問についてはカリキュラム等と照らし合わせて実態を理解することもできたが、その分析や、他国についての理解はまだ不十分である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度の5歳児クラスに進級した幼児について、引き続き観察をすることで、さらなる変化を捉えていく。担任保育者は変更になっているため、担任保育者に同意を得た上で、対象児が在籍するクラス全員の保護者に観察実施の許可を得る。また、対象児については別途保護者と面談し、昨年度の姿について報告した上で、改めて協力依頼をして観察を開始する。観察においては、4歳児から5歳児への発達も加味した上で、他児との関わりについて引き続き詳細に記録していく。 観察・面談のデータについては、学会の口頭発表で個別の事例についての分析にとどまっているため、今後他の幼児の観察で得られたデータとも合わせて総合的に分析し、論文にまとめ、発表する。
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