Project/Area Number |
22K20325
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0110:Psychology and related fields
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Research Institution | Kobe University (2023) Otemon Gakuin University (2022) |
Principal Investigator |
打田 篤彦 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 助教 (30963772)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 社会関係資本 / 都市緑化 / 社会調査 / 機械学習 / 公共政策 |
Outline of Research at the Start |
社会関係資本は、1990年代から個人・集団・地域に対する効用が着目され、国際的にはOECDや世界銀行、国内では内閣府などが意識調査で取り扱っており、公共政策における不可視の社会的な基盤としての重要性が指摘されている。一方、その構築の仕方に関する包括的な議論は同様には蓄積されておらず、特に人々の周囲の環境との関係性については政策的にも意義のある論点ながら検討が途上といえる。そこで本研究では、行政のオープンデータや社会調査、機械学習による大量の画像データの定量化、そして行政の実務者との連携を組み合わせ、都市における緑化と社会関係資本との相互作用を検討し、政策提言に耐える学術的知見の獲得を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、都市環境における緑化と人々の社会関係資本との相互作用を検討し、政策提言に耐える学術的知見の獲得を目的とし、行政機関によるオープンデータや質問紙調査、機械学習モデルによる大量の画像データの定量化、そして行政の実務者との連携を組み合わせた検討を行っている。 2023年度は、2022年度に新たに浮上した連携先の行政機関における政策課題、および研究実施体制の変化に対応して研究計画を修正しつつ、中間的な成果の報告も試みた。 中間的な成果として、緑化の評価指標として従来用いられてきた緑視率より、近年、学術研究への実装が進んでいる緑被率の方が人口動態や社会的なつながりに関する住民意識と関連が深いことが示唆された。ここでの緑被率は衛星画像での正規化植生指標(Normalized Difference Vegetation Index)から推定し、緑視率はGoogle Street Viewの画像データを機械学習モデルで識別し推定した。結果の背景として、緑被率が当該地域を上空から観測した際の植物の緑の面積割合であるのに対し、緑視率は歩行者の視野のうち植物の緑が占める割合であり、より人々の認知に近い緑化の指標であることが考えられる。このことから、緑化政策での根拠を検討する場合、人々の社会的なつながりに関する側面では、従来の緑被率だけでなく緑視率にも着目する必要があることが示唆されている。 以上の知見は、日欧の研究者が参加した国際セミナーや、研究者、行政機関、行政外郭団体、および行政コンサルタントの職員が参加した複数の研究会において報告を行った。また、投稿論文の審査が進行中であり、国際学会での報告(採択済み)も予定している。 さらに、連携先の担当部署が新たに優先的な政策課題として提示した公園整備に関わるデータの収集および整備を進め、既に得られた知見を発展させる追加の解析の準備に入った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度について、前年度に引き続き、行政機関の担当部署との連携が前提となるデータの提供、そして現地調査の体制づくりに加えて、解析結果に関する連携先との議論を経た論文投稿および学会発表を計画していた。 しかし、研究代表者が当該年度4月に所属機関を異動したことから、現地調査に関する地理的、時間的、および労力的な制約が本研究課題の申請時より著しく大きくなった。そこで、連携先の行政機関が保有する資料の二次利用に、分析対象とするデータの重点を移すこととした。しかし、連携先の担当部署が当初の想定以上に関連するデータを豊富に保有していることがその後明らかになり、提供に伴う手続きにそれぞれ数ヶ月、追加の期間を要した。また、研究成果を発表するための投稿論文の審査に想定以上の期間を要している。以上の理由から、本研究課題の実施期間を延長した上で、目的の達成を目指すこととした。 一方で、中間的な解析結果がまとまり、投稿論文の審査が進行中であり、また国際学会での報告(採択済み)を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
実施期間の延長後の終了年度である2024年度は、これまでの解析結果に関して、審査中の投稿論文の掲載、国際学会での報告(採択済み)、そして2023年度に連携先の行政機関から提供されたデータに基づいた追加の解析とその結果の学術報告が想定される。 具体的な計画は次の通りである。まず投稿論文については、審査結果を踏まえた随時の対応が想定される。国際学会での報告は、採択済みのものについては予定通り遂行する。 これと並行して、連携先の担当部署から提供されたデータを既存のデータセットに紐づける処理を完了し、追加の解析を実施する。この際、適宜、連携先の担当者らと結果の解釈に関し議論する。ここでは、本研究課題において当初想定されている都市緑化だけでなく、2022年度に連携先との議論の中で新たに浮上した政策的な懸案である公園整備にも焦点を当てることになる。その後、学会発表や論文の投稿、また2023年度に引き続き行政関係者が参加する研究会などでの報告といった成果の発信を企図する。
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