Project/Area Number |
22K21192
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
0908:Society medicine, nursing, and related fields
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
山岸 孝幸 科学警察研究所, 法科学第一部, 研究員 (50960879)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | アプタマー / ヒスタチン3 / HCR / ヒスタチン3 |
Outline of Research at the Start |
犯罪捜査における唾液検出法は食品等にも含まれるアミラーゼを検出する手法であるため、これに代わる検査法の構築が必要とされている。ヒスタチン3という分泌蛋白質は唾液特異性が高く、アミラーゼに代わる有力な標的候補である。本研究では、ヒスタチン3と特異的に結合する性質をもつ人工合成DNA(アプタマー)を用いて、従来法では煩雑だったヒスタチン3の検出を簡便に行う新規手法の構築を目指す。 まず、蛍光によりDNA(アプタマー)量を簡便に測定する手法を構築する。つづいて、これを用いてヒスタチン3とアプタマーの結合を定量的に検出する方法を構築する。最終的に、開発した手法で唾液中ヒスタチン3を検出可能か検証を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
犯罪捜査における唾液検査法は食品等にも含まれるアミラーゼを検出する手法であるため特異性が低く、新規検査法の構築が必要とされる。ヒスタチン3は特異性の高い唾液マーカー候補であるが、既存の抗体を用いたヒスタチン3検出手法には、手技が煩雑である、高い検出感度を実現可能な抗体が入手困難であるという課題がある。そこでアプタマーと呼ばれる、標的分子と特異的に結合する性質を持ち、高感度な検出手法への応用が期待できるオリゴヌクレオチドを用いて、唾液中のヒスタチン3を簡便かつ高感度に検出する手法を構築し、従来法の課題を克服した新たな法科学的唾液検査法の開発を目指す。 二年目にあたる本年度は、前年度に構築した、蛍光標識オリゴDNAを用いた常温下での自発的伸長反応(Hybridization Chain Reaction, HCR法)による検出系を活用して、配列改変アプタマーによるヒスタチン3検出手法の構築を試みた。元となるアプタマーに20塩基ほどからなる自己相補配列を付加したもの(スイッチングアプタマー)を設計し、ヒスタチン3とアプタマー配列が複合体を形成した際に一本鎖DNAとして現れる付加配列をHCR法で検出できるか検証した。ヒスタチン3合成ペプチドを用いたところ、スイッチングアプタマーによるHCRシグナルは比較的高濃度のヒスタチン3によって誘発された。また唾液試料を用いたところ、希釈濃度依存的にシグナルを検出できた。 一方で、犯罪捜査上、識別が重要となる他体液を用いて特異性の確認を行ったところ、ヒスタチン3の発現が報告されていない体液からもHCRシグナルが検出された。この非特異的反応は、付加配列等を数パターン改変した場合にも確認できたため、今後はアプタマー自体の特異性について精査する必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
構築した検出系を用いた検証の結果、今回用いたアプタマーの特異性について追加で精査する必要が生じた。これは唾液特異的な検査手法を構築する上で根幹的な性質であり、研究目的の達成に向けて最優先で検証する必要があると考えられた。今回確認された非特異的反応が、スイッチングアプタマーの付加配列に起因するものなのか、あるいはアプタマーそのものの性質なのかについて追加で検証を行い、後者である可能性が高いと考えられた。これにより、研究計画を変更し、特異性を補完するための手技等の検討を行ったため、進捗状況は遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
アプタマー自体の特異性について検証する必要が生じたため、研究計画の変更が必要であると考えられた。研究期間を延長した上で、まず、ウエスタンブロッティングの手法で唾液等の体液に対するアプタマーの反応性を確認し、アプタマー結合タンパク質の特性を把握する。アプタマーの反応性自体を改変することは困難であると考えられたため、アプタマー結合タンパク質のうち、ヒスタチン3あるいは唾液特異的なタンパク質以外を、限外ろ過または亜鉛イオンによるヒスタチン類の沈殿精製手法(Flora et al. Protein expression and purification 23.1 (2001): 198-206)により除去することができるか検証する。精製により唾液以外の由来のアプタマー結合タンパク質を十分除去できた場合、HCR法による検出の前処理として適用できるか検証する。
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