Phonon-engineered extreme thermal conductivity of two-dimensional heterostructures
Project/Area Number |
22KF0102
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Project/Area Number (Other) |
22F32052 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 外国 |
Review Section |
Basic Section 19020:Thermal engineering-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩見 淳一郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40451786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
AN MENG 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 2次元物質 / ファンデルワールスヘテロ構造 / フォノンエンジニアリング / 分子動力学 / 熱伝導 / 機械学習 |
Outline of Research at the Start |
極限熱伝導を有する2次元ヘテロ構造の高速設計を行う。受入研究者が開発した第一原理に基づくモンテカルロ法を用いて、2次元ヘテロ構造の熱伝導計算をハイスループットに行う。それを入力とした畳み込みニューラルネットワーク(CNN)やベイズ最適化により、究極的に熱伝導率が高いあるいや低い構造を設計する。さらに、同定した最適構造の熱伝導メカニズムを明らかにするべく、非平衡分子動力学シミュレーションや格子動力学シミュレーションからフォノンの状態、分散関係、群速度、緩和時間などを解析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
まず、2次元周期的MoS2/MoSe2ファンデルワールスヘテロ構造における熱伝導率の変調について研究を進めた。非平衡分子動力学(MD)法を用いて、格子不整合が小さい構造における熱伝導率変調とフォノン輸送を計算した結果、MoSe2層の密度を調整することで、コヒーレントフォノン輸送を破壊したり再構築したりできることがわかった。空間エネルギー分布、固有値ベクトル図、分散関係などによりフォノンモードの局在化を可視化することができた。このようなインコヒーレントからコヒーレントへのフォノン輸送の遷移現象を、熱伝導率の構造依存性と温度依存性と関係付けて議論した。 さらに、ヘテロ構造に同位体を埋め込んだ系のフォノン輸送をMD法により調べた。その結果、同位体を埋め込んだヘテロ構造では、質量差が小さい場合は熱伝導率が効果的に低減するが、質量差が大きい場合には低減効果が弱くなることがわかった。さらに詳細な解析により、熱伝導率低下のメカニズムが、フォノン・同位体散乱とフォノン・境界散乱に起因していることがわかった。また、同位体内包MoS2/MoSe2ヘテロ構造のフォノン分散曲線には、低周波数領域でフォノン共鳴現象が観察された。そこで、フォノン共鳴とフォノン散乱の複合効果による熱伝導率の抑制について詳しく議論した。 次に、2次元パターン化グラフェン/h-BNヘテロ構造のフォノンエンジニアリングを行った。MD計算により熱伝導率のデータベースを生成して、実効熱伝導率を予測する畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を開発した。それにより、異なる配列パターンの横型ヘテロ構造の構造特性を自動的に抽出することができた。学習させたCNNに基づいて、面内熱伝導率が高い横型ヘテロ構造の構造を求めた。さらに、熱伝導率が最も低い構造と最も高い構造のフォノンエネルギー密度分布と透過率を計算し、そのメカニズムを解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子動力学シミュレーションをはじてとする計算科学を活用して、2次元MoS2/MoSe2ファンデルワールスヘテロ構造や2次元パターン化グラフェン/h-BNヘテロ構造などのフォノン輸送や熱伝導の新たな制御性が見出され、それを裏付けるメカニズムの同定もされている。また、機械学習を用いたアプローチなど、方法論の面でも進展している。これらにより、研究目的である、2次元ヘテロ構造の究極的な熱伝導率の実現に向けて着実に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2次元ファンデルワールスヘテロ構造におけるコヒーレントおよびインコヒーレントフォノン輸送の制御を進める。今年度は、熱伝導率をさらに下げるべく、引き続き、同位体、界面構造、積層順などを通じた不秩序性によるフォノンエンジニアリングを実践する。熱伝導率は非平衡分子動力学シミュレーションを用いて計算し、フォノンのモードに依存した特性を得るために、フォノンの波束を誘起してその透過を観察したり、原子振動の相互相関関数を計算することで、不秩序構造におけるフォノンのコヒーレントおよびインコヒーレントな振る舞いを明らかにし、モードに依存したフォノンの局在化と関連付けて理解する。 2次元ファンデルワールスヘテロ構造のねじれによる熱伝導率の変調を検証する。今年度は、非平衡分子動力学シミュレーションを用いて、ねじれ角の異なる2次元MoS2/MoSe2ファンデルワールスヘテロ構造の面内および面外方向への熱伝導率を計算する。半径方向分布関数などの構造因子を、ねじれた2次元ヘテロ構造の構造安定性を明らかにするために用いる。格子動力学計算によるフォノン分散関係、スペクトルエネルギー密度による緩和時間、高次非調和性を含むスペクトルフォノン透過率を計算し、熱伝導率を変調するフォノン輸送の機構を分析する。 さらに実験にも着手し、ラマン法を用いてねじれ角の異なる2次元MoS2/MoSe2ヘテロ構造の面内熱伝導率を測定し、時間領域サーモリフレクタンス(TDTR)法により面外熱伝導率を測定する。これらの2次元MoS2/MoSe2ヘテロ構造の微細構造解析も行う。走査型電子顕微鏡(SEM)により試料の表面形状を、収差補正走査透過電子顕微鏡(STEM)により試料内の原子配列を、エネルギー分散型X線分光法(EDS)により化学量論的な特性評価を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)