Project/Area Number |
22KF0209
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Project/Area Number (Other) |
22F22079 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 外国 |
Review Section |
Basic Section 43050:Genome biology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村川 泰裕 京都大学, 高等研究院, 教授 (50765469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BHAGAT SHRUTI 京都大学, 高等研究院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2024: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2022: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | エンハンサー |
Outline of Research at the Start |
エンハンサーは、遺伝子の発現スイッチとして働き、活性化したエンハンサーからは、enhancer RNA (eRNA)と呼ばれるノンコーディングRNAが合成されている。本課題では、eRNAの全長構造を読み解き、エンハンサーが機能するための塩基配列ロジックを発見し、エンハンサーの配列変異がゲノム制御やヒト疾病に及ぼす影響を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ヒトゲノムの99%の領域は、蛋白質をコードしておらず従来ジャンクと言われてきており、これまで機能未知領域であった。しかし、近年に遺伝子の発現スイッチとして中心的に働くエンハンサーと呼ばれるシス制御配列が散りばめられていることがわかってきた。エンハンサーは様々なヒト疾患に関与していることが近年のホットトピックとなっている。驚くことに、活性化したエンハンサーからは、enhancer RNA (eRNA)と呼ばれるノンコーディングRNAが合成されていることが発見された。しかしながら、eRNAは短寿命で低発現であり、従来法では十分に解析することが困難であった。そこでBhagat博士と申請者らは、世界最高レベルの高感度でeRNAを解析できるNET-CAGE法を開発してきた(Nature Genetics 2019)。2022年度に独自に開発した、従来法よりも長いcDNAに対してNET-CAGEを行う手法を様々なヒト細胞種(幹細胞、初代培養細胞、がん細胞)に適用し、様々なタイプのエンハンサーをゲノムワイドに同定し、得られたデータから、eRNAの構造や発現パターンを多面的かつ包括的に解析した。従来の短いcDNAのシークエンス技術では解析が困難であったeRNAのスプライシングやポリアデニレーションなど、eRNAのバイオジェネシスを解析した。また、レトロエレメントなどの繰り返しDNA配列が作り出すエンハンサー領域(Bhagat、村川ら、iScience 2022)をより詳細に解析した。さらに、エンハンサーの進化的保存度を解析し、特に霊長類から発生するエンハンサーにも注目した。具体的には、エンハンサーは蛋白質をコードする領域に比べて、霊長類から出現しているものの割合が高くなっていた。ヒトのエンハンサー配列を異なる種に投射することで、エンハンサー配列とeRNA発現の進化的背景を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度に独自に開発した、従来法よりも長いcDNAに対してNET-CAGEを行う手法を様々なヒト細胞種(幹細胞、初代培養細胞、がん細胞)に適用し、様々なタイプのエンハンサーをゲノムワイドに同定し、得られたデータから、eRNAの構造や発現パターンを多面的かつ包括的に解析した。従来の短いcDNAのシークエンス技術では解析が困難であったeRNAの転写開始点やスプライシングやポリアデニレーションなど、eRNAのバイオジェネシス・転写後調節メカニズムを解析した。また、レトロエレメントなどの繰り返しDNA配列が作り出すエンハンサー領域(Bhagat、村川ら、iScience 2022)をより詳細に解析し、特に精子など生殖系の細胞で多くのレトロエレメント由来の転写開始点を同定した。さらに、エンハンサーの進化的保存度を解析し、特に霊長類から発生するエンハンサーにも注目した詳細な解析も実施し、マウス、非ヒト霊長類、ヒトへの遺伝子発現制御メカニズムの進化的観点も解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
エンハンサー配列とヒト疾患に関連するDNA多型・変異との関係性を解析し、ヒト疾患の発症メカニズムの理解やエンハンサーの機能発現の解明を目指す。このために、疾患発症に関連しているDNA多型・変異とエンハンサー配列を統合的に解析する。ゲノムワイド関連解析により同定されたDNA多型・変異の約90%はノンコーディング領域に存在しており、たんぱく質をコードしているエクソンに位置するのはごく一部である。エンハンサーに位置するDNA多型・変異は、eRNAの転写、転写因子結合(Oguchi et al.)、スプライシングなどに影響を与え、遺伝子発現の調節異常につながる。機能的なDNA多型・変異を絞り込み、そしてそれらのエンハンサーや標的遺伝子への影響をマッピングすることで、ヒトの疾患発症メカニズムの理解に繋げる。もしeRNAの転写後調節のbiogenesisに関わるSNPが見出されたりしたら興味深いと考えている。そして、ゲノム編集技術を用いて、機能的な検証実験を行う。
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