Project/Area Number |
22KJ0027
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Project/Area Number (Other) |
21J21260 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
池嵜 航一 北海道大学, 法学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | レイモン・アロン / 民主主義 / 自由 / 平和 / 戦争 / 冷戦 / 核兵器 / クラウゼヴィッツ / 国際関係論 / 全体主義 / 政治 / 国際関係理論 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、20世紀フランスの知識人レイモン・アロンの知性に関する研究であり、それを通じて民主主義社会が抱える構造的な問題とその存続条件について再考する試みである。 アロンは第一に、ジャーナリストと大学人との二重生活を通じて常に現実と理論の境界で政治を思考し続けた知識人であった。第二に、彼は複数の学問分野を横断しながら思考を紡ぎ、民主主義の内外にわたる危機を同時に捉えながら、それに対する理性的な政治を模索した人物だった。そのアロンの知的足跡を辿り、彼が遺した著作を紐解くことで、その政治的思惟を現代へと蘇らせ、そこから今を生きる我々にとっても有益な視座や洞察を引き出すことが本研究のねらいである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、20世紀フランスの知識人レイモン・アロンの政治思想を通じて、自由で民主的な社会の存続を可能にする条件を探るものである。 2021年度は、アロンがその思想形成の時期にあたる戦間期において、全体主義の政治に対する批判的思考と、歴史哲学の原理問題をいかに結び合わせていたのかを明らかにする論文を発表し、またアロンがカール・フォン・クラウゼヴィッツの『戦争論』をいかに読み解き、冷戦と核の時代に応用したかを学会において報告した。 2022年度は、アロンの国際関係論上の主著『諸国間の平和と戦争』の理論的構成を分析し、それがいかなる意味で「アメリカの社会科学」としての主流派国際関係論と異なっていたかを検討した(その成果は研究会報告として発表した)。 2023年度は、これらの研究成果を統括し、一個の研究として集成すべく、これまでの研究に不足していた領域の検討に時間を費やした。具体的には、年度の前半は政治と道徳をめぐるアロンの認識の変遷を追い、それが彼の冷戦観や国際関係観にいかに影響したかを分析した(その成果は、2023年6月16日の世界政治研究会における報告「レイモン・アロンにおける「政治」の理念:Paix et guerre (1962) の国際関係観と冷戦の構想」として発表した)。年度の後半は、第二次世界大戦中の評論や戦後の講義録を対象としてアロンの民主主義論を分析し、民主主義の頽廃(デカダンス)という概念が、民主主義に対するアロンの両義的な立ち位置(擁護者であり同時に批判者でもある)を理解する鍵であることを発見した。 以上を通じて、アロンの知識人としての態度選択と、その政治的思考の固有性を統合的に把握することが可能となった。この最終成果については、今後1~2年内に博士論文および書籍として発表することを目指している。
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