Project/Area Number |
22KJ0036
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Project/Area Number (Other) |
21J40047 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 03030:History of Asia and Africa-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大出 尚子 北海道大学, 文学研究院, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 皇産 / 盛京三陵 / 「満洲国」 / 皇室財産制度 / 清室優待条件 / 溥儀 / 愛新覚羅溥儀 / 陳曾壽 / 満洲国 / 盛京 / 陵墓 / 瀋陽故宮 / 盛京内務府 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、中華民国期に「皇産」と称された清朝皇室の私有財産のうち、清朝皇帝権力を象徴する瀋陽の宮殿(現在の瀋陽故宮博物院)および盛京三陵を考察対象とし、その保全に関与した組織の成立過程や人物の皇産保全思想を抽出する。従来、故宮に関する研究は、北京・台北の「ふたつの故宮」の文物史に偏重してきた。それに対して、「皇産としての瀋陽故宮」を軸に故宮博物院史を展開することで、将来的に「三つの故宮」のストーリーによる新たな故宮博物院史を構築する研究である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中華民国期から「満洲国」期の中国東北における皇産(清朝皇室財産のうち不動産)保全の歴史的展開を検討するものである。特に、清朝副都の宮殿(瀋陽故宮)と清初の皇帝陵(盛京三陵)が皇産として同じ機構下で管理された歴史に着目しながら瀋陽故宮博物院史研究を深化させることにより、既存の文物史中心の故宮博物院史を見直し、「三つの故宮」構想に基づく新たな「故宮博物院史」を構築することを研究目的とする。 1年目は、盛京三陵と総称される永陵・福陵・昭陵の各陵が成立した清朝初期から管理制度史を説き起こし、中華民国期の1925年までの管理機構の変遷を追った。2年目は、1912年の「清室優待条件」により誕生した皇産の概念に着目しながら、「満洲国」期までの清室私産としての盛京三陵の処遇を追った。 最終年度の研究成果は、皇産の概念が「満洲国」期の1937年制定の「帝室財産管理令」に伴って消失する過程を明らかにしたことと、法令面における日本の皇室財産制度の移入とその実態について、皇帝陵の樹木管理を事例に論証したことである。「帝室財産管理令」は、法令面において日本の皇室財産制度が入り込んだ画期としての歴史的意義を持っていた。本令以降の日本の皇室財産制度移入の実態解明については、国立国会図書館・東洋文庫・東北大学附属図書館・東京大学東洋文化研究所で収集した皇産調査報告書を利用した。そして史料の分析から、1936年11月段階で、皇産整理の議論の場では「皇産は存続せず」との方針を抱いていたことを明らかにした。さらに、1937年春に起こった日本の御料林に相当する陵寝の樹木管理問題に焦点をあてた研究では、1937年以降も清代以来の慣習を破って樹木伐採を強行することはなかったことを確認し、このことは日本の皇室財産制度の移入が思惑どおりに進められなかった「満洲国」の実相の一端を示すと指摘した。
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