光導波路分光装置を用いた飲料水中の高感度病原微生物モニタリング法の開発
Project/Area Number |
22KJ0123
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Project/Area Number (Other) |
22J21154 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 22060:Environmental systems for civil engineering-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中島 芽梨 (2023) 北海道大学, 大学院工学院, 特別研究員(DC1)
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Research Fellow |
中島 芽梨 (2022) 北海道大学, 大学院工学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | バイオセンサ / 金ナノ粒子 / ハイブリダイゼーション / 光導波路 / 病原体 / SARS-CoV-2 / RNA / 硝化細菌 |
Outline of Research at the Start |
飲料水を介した水系感染症を根絶するためには、時間的にも空間的にも網羅的に飲料水中の病原微生物をモニタリングすることが必要不可欠である。しかし現行の分析法はコストや労力を要するため、簡易で迅速に、高感度かつ低コストで病原微生物をモニタリング可能な分析法が求められている。本研究では、特定の核酸と特異的に結合する金ナノ粒子と光導波路分光装置を用いた、飲料水中の高感度病原微生物モニタリング法を開発し、簡易で迅速に、高感度かつ低コストで病原微生物をモニタリング可能な分析プロトコルを確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
SARS-CoV-2の検出は、新型コロナウイルス感染症の蔓延状況を把握するための下水疫学調査において行われており、医学分野のみならず環境工学分野においても注視すべき病原体である。我々が開発した、光導波路分光装置を用いて低濃度の核酸を検出する「光導波路法」を改良し、実サンプル中のSARS-CoV-2ゲノムRNAの検出を試みた。初めに、実験条件や装置の設定条件について検討を行った。人工合成したゲノムRNAサンプルを用いて検出を行ったところ、ポジティブサンプルでは散乱光強度が増大し、SARS-CoV-2のゲノムRNAを1 copies/μLまで検出可能であった。また、SARS-CoV-2のゲノムRNAを含まないネガティブサンプルでは散乱光強度の増大はみられず、光導波路法はSARS-CoV-2のゲノムRNAを検出可能であることが確認できた。従来法(RT-qPCR法)により陽性または陰性と診断された臨床サンプルを用いて分析を行ったところ、光導波路法は散乱光強度とピーク波長の違いから従来法と同様に陽性と陰性を判別することができた。検出限界は、これまでに報告されている酵素を用いた前増幅などを行う分析法とほぼ同程度であり(30 copies/μL)、非常に高感度であった。また光導波路法は、これまでに報告されている酵素を必要とする分析法と同等の検出下限を示しながらも、高価な試薬や酵素、サーマルサイクラーなどの装置を必要とせず、5分程度で分析が完了するため、コスト、分析に要する時間、簡便さの点において非常に優れていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
光導波路法を用いて、人工合成したSARS-CoV-2ゲノムRNAだけでなく、実サンプル(臨床サンプル)中の非常に低濃度なゲノムRNAも検出することができた。よって、光導波路法は、環境工学分野における水質分析のみならず、医学や農学分野における簡易迅速診断やオンサイトモニタリングへの応用も期待できる。また、SARS-CoV-2以外にも水系感染症の原因となる微生物の検出にも成功しており、当初の計画以上に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き水系感染症の原因となる病原体や、糞便汚染や下水処理性の指標となりうるトウガラシ微斑ウイルス(PMMoV)などの検出を目指し、それぞれについて分析プロトコルの確立を行う。 また、光導波路法を含め我々が開発した金ナノ粒子プローブを用いた核酸分析法は、使用する検出プローブの一本鎖DNA配列を変更する、あるいは特定の物質と特異的に結合するアプタマーなどを検出プローブとして使用することで、様々なターゲット(DNA、RNA、タンパク質、菌体など)を検出することができる。水処理システム中の微生物やウイルスを検出対象とし、複数種のDNAやRNA、タンパク質、菌体などの他項目同時分析が行えるよう、我々が開発した金ナノ粒子を用いた核酸分析法とマイクロプレートリーダーによる光学的分析を組み合わせた分析法の開発に取り組み、網羅的な微生物や病原体モニタリング法の確立を目指す。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)