Project/Area Number |
22KJ0133
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Project/Area Number (Other) |
22J21842 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 58020:Hygiene and public health-related: including laboratory approach
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 広子 北海道大学, 国際感染症学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ウイルス / フラビウイルス / 蚊特異的ウイルス / 宿主特異性 / 温度適応性 / 昆虫特異的ウイルス / ウイルス進化 |
Outline of Research at the Start |
蚊媒介性フラビウイルス感染症は、地球温暖化による蚊の生息域の拡大により、国際的に公衆衛生上の重要な課題となっている。蚊媒介性フラビウイルスは、脊椎動物にも感染しヒトに感染症を引き起こす病原性フラビウイルスと、蚊のみに感染できる蚊特異的フラビウイルスに分けられ、これらは遺伝的には近縁であるが、宿主特異性の違いに関わる機構はほとんど明らかとなっていない。本研究は、病原性フラビウイルスと蚊特異的フラビウイルスの構造タンパク質を組換えたキメラウイルスの作製や、非構造領域のレポーターアッセイを構築して、組換えに起因するウイルス性状の変化を比較解析することにより、フラビウイルスの宿主規定因子を探索する。
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Outline of Annual Research Achievements |
蚊媒介性フラビウイルスは、日本脳炎ウイルス(JEV)等の脊椎動物にも感染性を有する病原性フラビウイルスと、蚊のみで感染が成立する蚊特異的フラビウイルスに分類される。蚊特異的フラビウイルスと病原性フラビウイルスは遺伝的には近縁であるが、宿主特異性の違いに関わる機構は、ほとんど明らかではない。本研究課題では、脊椎動物に感染が成立する日本脳炎ウイルス(JEV)と、蚊特異的フラビウイルスであるバルケジライクウイルス(BJLV)の性状を比較解析し、フラビウイルスの宿主特異性に寄与するウイルス因子を探索する。 本年度は、構造タンパク質prM、およびEの相同領域を置換したキメラウイルスを用いて、宿主特異性を評価した。その結果、BJLVの構造タンパク質を有するウイルスは、細胞培養温度に依存せずに蚊由来培養細胞及び哺乳類培養細胞へ侵入できることが証明された。JEVの構造タンパク質を有するウイルスでも同様の結果が認められた。BJLVの非構造タンパク質と非翻訳領域を有するウイルスは、哺乳類細胞において増殖が認められなかったという昨年の結果と併せて、蚊特異的フラビウイルスの宿主域制限は非構造タンパク質による複製能によって規定されることが推察された。現在、構造タンパク質領域をルシフェラーゼ遺伝子に置換したレプリコンアッセイを構築し、BJLVの非構造タンパク質の哺乳類細胞における複製能を評価している。更に、細胞培養温度が蚊特異的フラビウイルスの複製に影響することが判明した為、複数の蚊特異的フラビウイルスを対象に、蚊由来培養細胞を用いて哺乳類動物細胞の培養温度条件で増殖できる温度馴化ウイルス株の取得を開始し、変異株の取得に成功した。この温度馴化の過程において、ウイルスのアミノ酸変異が非構造タンパク質領域に確認された為、蚊特異的フラビウイルスの温度適応性に非構造タンパク質が重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、ウイルスゲノム非構造領域の複数の領域を標的にキメラウイルスの作出を試みたが、複製能の修飾によるウイルス産生への影響によりキメラウイルスの産生は認められなかった。本年度はキメラウイルスを用いた解析ではなく、構造タンパク質領域をルシフェラーゼ遺伝子に置換したレプリコンアッセイを構築し、非構造領域の哺乳類細胞内での複製能の検証を試みたが、現在レプリコンアッセイの構築が難航している。また、当初計画していた蚊特異的フラビウイルスの温度馴化の検討に関しては、複数のウイルスに対して、蚊由来培養細胞を用いて、哺乳類動物細胞の培養温度条件で増殖できる温度馴化ウイルス株の取得に成功し、温度馴化株で生じたアミノ酸変異を同定した。以上の状況から、本研究課題は概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
構造タンパク質領域をルシフェラーゼ遺伝子に置換したレプリコンアッセイを用いて、BJLV非構造タンパク質の哺乳類細胞における複製能を検証する。哺乳類細胞プロモーターを持つBJLV野生型レプリコンを作成し、哺乳類細胞におけるレプリコンのルシフェラーゼ活性を測定することにより、哺乳類細胞内でのBJLV非構造領域の複製能を調べる。複製が生じなかった場合、3’-UTR、5’-UTR、NS1、NS2A、NS2B、NS3、NS4A、NS4B、NS5の各標的領域を一つずつ欠損させたJEVレプリコンと、BJLV各標的領域を有するプラスミドを共発現させた細胞における、ルシフェラーゼ活性を測定する。BJLV標的領の、欠損させたJEVの相同領域の補完能を評価することにより、各BJLV非構造領域の哺乳類細胞でのウイルス複製能を検証する。同定したタンパク質における機能ドメインをより詳細に探索する。 また、複数の蚊特異的フラビウイルスにおいて、温度馴化で変化したアミノ酸の温度適応性における重要性を検討する。具体的には、リバースジェネティクス法にて、一つずつの当該アミノ酸変異を有するウイルス変異株を作成し、哺乳類動物細胞の培養温度条件で増殖しうる変異株を同定する。また、同定したウイルスのアミノ酸変異箇所に関して、変異によるタンパク質構造の変化や、タンパク質の安定性を評価し、フラビウイルスが哺乳類細胞温度に適応するために獲得したタンパク質性状を調査する。
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