マダニに共生する真核生物群の特定と病原体排除因子の探索
Project/Area Number |
22KJ0134
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Project/Area Number (Other) |
22J21938 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 42020:Veterinary medical science-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田谷 友里恵 北海道大学, 国際感染症学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 吸血性節足動物 / マダニ / 細菌叢 / 真核生物叢 / アピコンプレクサ / グレガリナ / 寄生蜂 / ベクター / マイクロビオーム / グレガリナ類 |
Outline of Research at the Start |
マダニは様々な病原体を運び、吸血により人や動物にそれらを媒介する。マダニは病原微生物のみならず多様な非病原微生物を保有するが、そのうち真核生物についてはほとんど研究されていない。本研究では、マダニ体内微生物叢における主要な真核生物、病原微生物と関連のある真核生物、および非病原性のアピコンプレクサ門原虫を中心とした解析を行い、マダニとその媒介病原体の防除に関する基礎的知見を構築することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
マダニおよびマダニ媒介性感染症の防除が課題となっている。多くの節足動物は寄生性微生物の脅威や共生微生物による恩恵の中にあるが、マダニの保有する微生物については、人や家畜の感染症ではないもの、特に真菌や原虫などの真核生物についてはほとんど研究対象とされてこなかった。本研究課題では、マダニに寄生や共生を行う真核微生物を明らかにし、マダニとその媒介病原体の防除に関する基礎的知見の構築を目的とする。 マダニにおける病原微生物の保有率と相関を示す微生物種や、マダニ内微生物ネットワークにおいてハブとなる微生物種の推定を目的とし、マダニの真核生物叢および細菌叢の解析を実施した。北海道、東北、近畿、九州にて、マダニ2属4種184サンプルを旗振り法により採集した。真核生物の18S rRNA遺伝子、および細菌の16S rRNA遺伝子を対象として各PCRを行った。各増幅産物をIllumina MiSeqで解読し、生物組成推定を行った。ドメイン内/間の微生物相関ネットワーク解析を行ったが、真核生物叢のうち分類困難な配列等の処理が課題となり、有意義なネットワークの構築には至らなかった。 マダニに寄生する真核生物として、マダニ寄生蜂の調査を行なった。本邦における記録は1970年代の2件のみであるため、国内のマダニ寄生蜂相の解明を目的とした。合計10都道府県にて合計およそ3000個体の若ダニを採集し、寄生蜂の有無を調査した。寄生蜂は寄主マダニの飽血後に発育し出現するため、旗振り法により植生上から採集したマダニ個体を、実験室にてウサギに吸血させ、飽血後の個体を回収した。また、野生動物に吸血中のマダニ個体を採集した。サンプルのマダニ個体は、寄生蜂の出現またはマダニの脱皮まで維持と観察を行なった。石川県、神奈川県、高知県、島根県にて採集したマダニ個体から寄生蜂が確認され、国内における広い分布が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内のマダニ4種について、保有する細菌叢と真核生物叢を明らかにした。細菌叢と真核生物叢を統合することにより、網羅性の高いデータとなり、微生物間の相関関係を解析するための基礎情報を得た。ネットワーク解析については、真核生物のうち分類困難なリードによる課題があったものの、解析環境を整備することができた。また、マダニ寄生蜂のサンプル収集は順調に進んでおり、形態学的および分子生物学的に種同定を実施する体制が整った。 以上のことから、研究は当初の予定通り、おおむね順調に進展していると自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのところ、おおむね順調に研究が進行できているため、本年度も申請書の計画通り実施する。 細菌叢と真核生物叢を統合した微生物叢データに基づき、ドメイン内/間の微生物ネットワーク解析を行う。病原微生物の保有率と相関を示す微生物種や、マダニ内の微生物ネットワークにおいて重要なハブとなる微生物種の推定を行う。分類困難なリードについては、進化配置アルゴリズムによるアサインメント、および、出現数の極端に少ないリードの排除により解決する。 これまでに収集したマダニ寄生蜂について、形態学的および分子生物学的に種同定を実施する。また、更なる分布状況の調査を目的として、過去に凍結保存した野外マダニのサンプルライブラリーから、分子生物学的方法によりマダニ寄生蜂の検出を行う。加えて、マダニ寄生蜂の生存個体が採集できた際には、新たな寄主マダニ個体への産卵実験を行い、実験室株の取得を試みる。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)