ゲノム情報から見る日本産モグラ科哺乳類の集団形成史と分類学的再検討
Project/Area Number |
22KJ0137
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Project/Area Number (Other) |
22J21989 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 45030:Biodiversity and systematics-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
角井 建 北海道大学, 情報科学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2024: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 系統地理 / 地下性哺乳類 / 全ゲノム / 第四紀 / デモグラフィー |
Outline of Research at the Start |
日本列島に広く分布するモグラ類(Mogera imaizumii, Mogera wogura)を対象に遺伝子解析と全ゲノム解析を実施し、その遺伝的な集団構造を解明する。特に過去の環境変動がどのように現在の集団構造を決定づけたのか、また二種の遺伝的な違いがそれに寄与していないか、生物学的・非生物学的要因について探索する。 またゲノム情報よりモグラ類の地下適応に関連する遺伝子の特定を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
日本産モグラ科哺乳類を対象に、リファレンスゲノムを作成してその遺伝的な研究基盤を築き(計画1)、集団ゲノミクス解析によって第四紀環境変動や種間競争が集団形成に与えた影響を解明する(計画2)。またモグラ類の地下適応に関連する遺伝子を探索・解析する(計画3)。 計画1および計画2について、前年度に成功した全ゲノムのデータを基に縮約ゲノム・全ゲノムを用いた解析を進め、アズマモグラとコウベモグラという二種のモグラ類を対象にその集団構造を解析、地域ごとに遺伝的に分化した集団に分かれることを把握している。作成したリファレンスゲノムを用いることで縮約ゲノム解析においてもより多くの情報量を得ることができるようになった他、アズマモグラ6個体、コウベモグラ10個体について全ゲノム解析をおこなったことで、より信頼できる分岐年代の推定や集団サイズの推移を推定するデモグラフィー解析が可能となっている。この全ゲノムを用いた集団解析からは、これまでは一部しかわからなかったミトコンドリアゲノムと核ゲノムについて集団構造を把握することができている。特にコウベモグラが大陸から日本列島へ移入した分散パターンについて今までは知られていなかった特異性を見出すことができた。 計画3について、地下適応に特に重要と思われる嗅覚・味覚・フェロモン受容体遺伝子についてのアノテーションを実施済みである。今後遺伝子ごとのdN/dS比などの統計値の計算によってアズマモグラとコウベモグラの間に遺伝的な差異がないか検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多数のサンプルを用いた縮約ゲノム解析については、現在MIG-seqデータに基づく集団解析の結果を「アズマモグラとコウベモグラの遺伝的集団構造の解明」として論文を執筆中である。 また、コウベモグラのリファレンスゲノムの決定とそれに関する論文の執筆、配列の登録作業も共同研究者と共に進行中である。 また、アズマモグラとコウベモグラ合わせて16個体を用いた全ゲノム配列の推定をおこない、これまでよりも情報量の多いデータに基づく集団解析をおこなっている。特に、MSMC2に基づく歴史的な集団サイズの変動の推定、および集団間の分岐年代の推定を実施しており、より詳細で信頼できる集団構造の把握に近づいている。
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Strategy for Future Research Activity |
コウベモグラの全ゲノムデータをリファレンスとして登録し、論文として発表する。また、縮約ゲノム解析によるアズマモグラとコウベモグラの集団構造の解析結果を引き続き論文として執筆・発表する。 MSMC2を用いた解析は今のところ一つのスキャッフォールドを対象におこなっており、全スキャッフォールドで同時に解析をすることでより信頼できる結果を得る。 また、アズマモグラとコウベモグラの集団構造に両種間の種間相互作用が関わっているか考察するために、両種の間に異なる程度のセレクションを受けた遺伝子がないか、遺伝子ごとのdN/dS比などの統計値を比べる。これにより両種の間で生息地の嗜好性の違いなどがないか考察する。 以上のようにアズマモグラとコウベモグラの分布を決定づけた生物的・非生物的要因について、ゲノム情報に基づいて明らかにしていく。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)