Project/Area Number |
22KJ0160
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Project/Area Number (Other) |
21J00488 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 01080:Sociology of science, history of science and technology-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
馬場 靖人 (2021, 2023) 東北大学, 情報科学研究科, 特別研究員(PD)
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Research Fellow |
馬場 靖人 (2022) 東北大学, 情報科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 色盲 / 色覚 / カント哲学 / 新カント主義 / 当事者 / 科学 / 知識 / 視覚器具 / 主体 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、19世紀後半から20世紀前半までの色盲についての言説の形成過程において色盲当事者が果たしていた役割を解明することを目的とするものである。具体的には、当時の西欧や日本において、どのような言説が支配的な色盲言説として定着してきたのか、またそれがどのようにして形成されてきたのかを示し、そのような言説の形成において、色盲当事者であり、なおかつ色盲を研究する科学者でもある人々の活動がどのような役割を果たしていたのかを明らかにする。また色盲にかかわる言説や表象、視覚器具が一般の色盲当事者の主体形成にどのような影響を与えていたのかを明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究の過程で、19世紀後半の西欧における色盲についての支配的言説の形成にカント哲学がどのような影響を与えたのかが重要な論点として浮かび上がってきた。そこで最終年度の前半は、ロンドン大学ヴァールブルク研究所にて在外研究を行ない、色覚検査器具「仮性同色表」の発明者であるJ・シュティリングの色覚/色盲理論へのカント哲学の影響を調査した。具体的には、彼の哲学的主張が最も明確に表れている『カントの経験の理論による視覚表象の心理学』を精読した。その結果、シュティリングがA・ショーペンハウアーおよびA・クラウゼのカント解釈を土台として自身の色覚理論を構築していたことが明らかになった。シュティリングは、カントにおいて相互に峻別されていた感性と悟性を、ショーペンハウアーにしたがって「悟性的直観」と読み替え、そこにクラウゼの「色彩カテゴリー」を接ぎ木していたのである。シュティリングによる色覚/色盲理論の構築および仮性同色表の発明は、このような独特なカント解釈を土台としていた。この研究により、19世紀後半の特にドイツにおける色盲についての支配的言説の形成において、カント哲学が重大な役割を果たしていたことを確認できた。またそれに加えて、シュティリングはA・クラッセンなる新カント派の眼科学者からも大きな影響を受けていたことが判明し、色覚/色盲理論と新カント派の哲学との関係性の検討が今後の課題として残った。
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