Project/Area Number |
22KJ0178
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Project/Area Number (Other) |
21J20758 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 15020:Experimental studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 陸生 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 二重ベータ崩壊 / ニュートリノ / 素粒子実験 / 液体シンチレータ / シンチレーションフィルム |
Outline of Research at the Start |
ニュートリノの性質についてはいまだ不明なことが多く、特にニュートリノがマヨラナ性(粒子・反粒子が同一の性質)を持つかどうかは重要な謎となっている。KamLAND-Zen800実験では、ニュートリノがマヨラナ性を持つ場合のみ起こり得るXe原子核のニュートリノを伴わない二重ベータ崩壊を探索することでマヨラナ性の検証を目指している。KamLAND-Zen800では世界最高感度での実験が進行中であるが、まだ0ν2βの発見には至っていない。本研究では、新たな解析手法の確立や将来計画に向けた研究開発を行うことで、更なる探索感度の向上を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
KamLAND-Zen実験では、極低バックグラウンド環境の大型液体シンチレータ検出器を用いて、136Xeのニュートリノレス二重ベータ崩壊探索を行っている。この事象は未だ発見されておらず、更なる探索感度の向上が求められる。本研究では、宇宙線ミューオン由来の背景事象を削減するための新たな解析手法の開発を行った。 現行のツールでは再構成が困難な複数ミューオンイベントを解析するための新しいツールをシミュレーションベースで開発しており、本年度の研究ではこのツールをKamLANDで観測されたデータに適用し、その再構成性能を検証した。ミューオン飛跡との位置相関がある12B事象と飛跡間の距離dLによる評価を行い、dL<2mと判定された割合が再構成ミューオン数が単一・複数の場合でそれぞれ90.6%・89.2%であり、現行のツール(87.0%・78.9%)と比較して精度が向上した。単一ミューオン判定のイベントでは2つのツール間の差は小さいが、複数ミューオン判定のイベントでは10%以上向上した。これにより、新しく開発したツールが複数ミューオンイベントを適切に判定し、その飛跡を精度良く再構成できることが確認された。 これまでの研究により、適切な取り扱いができていなかった複数ミューオンイベントについて、精度よく再構成できるツールの開発に成功し、実データに適用することで複数ミューオンイベントの判定が可能となった。また、通常の単一ミューオンイベントでも再構成精度の向上が確認された。今後はさらに解析を進め、ミューオン由来の背景事象の除去性能への効果を評価する。特に、ミューオン飛跡情報を用いた機械学習による解析手法の開発も並行して行っており、新たな飛跡再構成ツールとともに実装することで宇宙線ミューオン由来の背景事象を削減し、探索感度の向上を目指す。
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