ショウジョウバエの器官運命の転換における新規シグナル伝達経路の解明
Project/Area Number |
22KJ0220
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Project/Area Number (Other) |
22J10423 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 44020:Developmental biology-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
根本 和也 東北大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ショウジョウバエ / 細胞運命 / リプログラミング / 成虫原基 / インスリン様ペプチド |
Outline of Research at the Start |
本研究では、ショウジョウバエの器官運命転換現象の新規制御因子であるDilp8の機能・作用機序の解明を試みる。Dilp8は各細胞の分化運命の制御ではなく、運命転換した細胞集団を統率して、異なる器官を正しく構築させるための制御因子であることが示唆されている。よって、Dilp8による制御メカニズムを明らかにすることで、ヒト器官の人工作成につながる知見が得られる可能性がある。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ショウジョウバエの器官改変現象におけるインスリン様ホルモンDilp8の機能を解析した。 本年度ではまず、分泌されたDilp8がどの組織に作用するかを検討するため、Dilp8受容体の有力候補であるDrlの組織特異的な機能阻害を行った。その結果、複眼原基特異的にdrlのノックダウンを行うことで、器官改変が有意に阻害された。これらの結果から、複眼原基から分泌されたDilp8が複眼原基にDrlを介して作用するというパラクライン的作用の存在が示唆された。 次に、in situ hybridization法により複眼原基におけるdrl mRNAの発現パターンを解析した。その結果、dilp8 mRNAとdrl mRNAを共染色したところ、dilp8の発現とdrlの発現はほとんど重ならなかった。このことから、分泌されたDilp8は発現細胞自身には作用せず、Drl発現細胞に対して特異的に作用する可能性が考えられた。 最後に、再生芽細胞特異的な遺伝子発現プロファイルを解析した公共のscRNA-seqデータを再解析することで、dilp8を発現する再生芽細胞やdrl発現細胞の特徴に迫った。その結果、dilp8を発現する再生芽細胞では、wnt1も特異的に発現上昇することを見いだした。更に、Wnt1受容体であるFz2も、dilp8及びwnt1を発現する再生芽細胞では発現しない一方で、drl発現細胞では発現していた。このことから、Dilp8-Drlシグナルと同様にWnt1-Fz2シグナルも器官改変制御に関わる可能性が示唆された。実際に、Fz2の機能欠損は器官改変を阻害することも確認しており、今後Dilp8-DrlシグナルとWn1-Fz2シグナルの関係性についても解析する必要がある。 これらの成果の一部は学術論文として発表した(Nemoto et al., Genes to Cells 2023)。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)