Project/Area Number |
22KJ0253
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Project/Area Number (Other) |
22J12778 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 02070:Japanese linguistics-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鏡 耀子 東北大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2022: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 丁寧形 / 普通形 / 現代日本語文法 / 敬語 / 丁寧語 / 日本語教育 |
Outline of Research at the Start |
現代日本語の「です・ます」は敬意や丁寧さを表すものとされるが、実際にはそれだけでは説明ができない用例も多い。本研究では、「です・ます」がつく「丁寧形」とつかない「普通形」の使い分けの機構を検討することで、両者の機能および文法上の性質を明らかにする。また、海外の日本語学習者を対象とした調査を行い、学習者がどのように両者の機能を認識しているのかも調査する。本研究は主に現代日本語の文法論および文章論に新たな知見をもたらしうる他、日本語教育への貢献も期待できるものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、博士論文の執筆を行った。 まず丁寧形と普通形の使い分けの機構を明らかにするため、丁寧さという概念では説明のできない事例について分析・記述した。その結果、使い分けに関わる要因は、文法的要因、待遇的要因、表現的要因という3種類に分けられることが分かった。文法的要因とは、書き手の意図に関わらず、丁寧形または普通形を使用しないと不自然に感じられるという要因である。待遇的要因とは、読み手や文脈内の相手に伝達することを意識しているか否か、またどのように伝達しようとしているかに関わる要因である。表現的要因とは、一時的に丁寧形または普通形を使用することで重要箇所を際立たせるというような、表現上のストラテジーとなる要因である。これらの要因が関係し合い、丁寧形と普通形の使い分けの機構が形成されることを指摘した。そしてこれらの要因から、丁寧形と普通形はそれぞれ、文法的性質、待遇的性質、表現的性質という重層的な性質を持つといえることを記述した。 このことをふまえ、日本語教育との関わりについても検討した。昨年度行った海外の日本語学習者を対象とした調査の結果から、学習者たちはこのような丁寧形と普通形の性質を、直接習っていなくとも自ら考えて指摘できることが分かった。またその調査の回答には、日本語の特徴と「日本人らしさ」の同一視、および母語話者に対する劣等感といった、従来の日本語教育の問題として挙げられる点が垣間見られた。一方、そういった問題から脱却するための工夫として注目される、自律的に学習する姿勢も見られた。このように、丁寧形と普通形は日本語教育の問題や工夫を顕在化させるものであって、それは文法的性質、待遇的性質、表現的性質という3種類の性質が備わるという、丁寧形と普通形の特異な特徴のためであることを指摘した。
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