Project/Area Number |
22KJ0268
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Project/Area Number (Other) |
22J13615 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 18040:Machine elements and tribology-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川浦 正之 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 摩擦 / トライボロジー / トライボフィルム / 水潤滑 / 分子動力学シミュレーション / 計算材料科学 / 反応分子動力学 / シミュレーション / 摩擦化学反応 / セラミックス材料 / 金属材料 |
Outline of Research at the Start |
摩擦界面では力学的作用と化学的作用が複雑に絡み合った反応であるトライボ化学反応が促進されることで、摩擦界面において摩擦係数を小さくする潤滑膜や、材料表面を摩耗から防ぐ耐摩耗膜などの「トライボ膜」が形成されることが知られている。機械の効率化・長寿命化に有効なトライボ膜は、摩耗しつつも再形成する自己修復という性質によって永続的に摩擦界面に維持されると考えられている。しかしながら、動き続ける摩擦界面を直接観測しトライボ膜の形成・自己修復メカニズムを解明することは困難である。本研究では化学反応を考慮した分子動力学シミュレーションの開発によって、摩擦界面における自己修復メカニズムの解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
エネルギー損失を防ぐために、摩擦を低減させることが求められている。摩擦の大きさは材料表面の状態に影響を受けるが、摩擦自体によって表面変質層が発生し、摩擦特性が変わる。本研究ではこの表面変質層の制御に向け、化学反応を解析することが出来る反応分子動力学法(反応MD)を用いた摩擦界面構造解析を実施した。 炭化ケイ素は、水だけで超低摩擦を実現する材料として注目されている。従来、低摩擦は摩擦界面での化学反応によって形成されるトライボフィルムが由来であり、これは真実接触面上に局所的に形成され、凝着を防ぐ炭素層と、コロイダルシリカ潤滑膜から構成されることが分かっていたが、トライボフィルムが界面に維持される機構は未解明であった。本研究では、反応MDを用いてトライボフィルムが維持される過程を解析した。その結果、コロイダルシリカ潤滑膜が摩擦によって界面から排出され、表面の凸部同士の接触が起こると凸部に形成されている炭素層が凝着を抑制する。同時に、それ以外の炭化ケイ素表面領域において水分子との化学反応が進行し、潤滑膜が生成され続ける。これによって、低摩擦を維持しつつも新たなトライボフィルムが生成され続けるという機構を明らかにした。 また、金属材料表面の表面テクスチャによってもたらされる変質層の解析を実施した。従来は数万原子数程度で実施されてきた反応MDを大規模化し、100万原子規模の計算を、アルミニウム基板を用いて行った。その結果、摩擦によってテクスチャの凹部に凸部が押し込まれることで残留応力が生じ、アルミニウム基板が面心立方構造から体心立方構造に変化することを明らかにした。また、ナノサイズの結晶粒が摩擦によって応力誘起の粒成長を生じることを明らかにした。これらの金属材料における表面変質層は、材料の硬度の上昇をもたらすと考えられ、摩擦界面の接触面を減少させ低摩擦につながると考えられる。
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