Project/Area Number |
22KJ0280
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Project/Area Number (Other) |
22J14954 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 17010:Space and planetary sciences-related
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Research Institution | The University of Tokyo (2023) Tohoku University (2022) |
Principal Investigator |
中村 勇貴 (2023) 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Research Fellow |
中村 勇貴 (2022) 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2022: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 火星 / 光化学反応 / 太陽高エネルギー粒子 / 数値シミュレーション |
Outline of Research at the Start |
太陽高エネルギー粒子(SEP)が惑星大気に降り込むと、大気中の微量成分組成が変化し、生命分子前駆体を生成すると考えられている。火星では、SEPが到来した際に夜側全域に広がるディフューズオーロラが近年発見されたことにより、SEPが火星大気に与える影響の理解が進みつつある。しかし、火星大気の微量成分組成がSEPの降り込みによってどう変化するか、これまで観測的にも理論的にも明らかにされていない。本研究では独自に開発したSEP輸送モデルと大気光化学モデルを組み合わせた数値シミュレーションにより、現在と過去の火星大気にSEPが降り込んだ際の大気組成の変化および生命分子前駆体の生成率を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
太陽高エネルギー粒子(SEP)が惑星大気に降り込んだ際の大気組成の変化については、これまで地球の大気を除いてほとんど理解されてこなかった。本研究は、太陽高エネルギー粒子(SEP)の降り込みが現在および過去の火星大気組成に与える影響について、数値シミュレーション(SEP輸送モデルPTRIPと汎用光化学モデルPROTEUS(Nakamura, Y., Terada, N. et al., 2023, EPSP))を用いて解明することを目的としている。 SEPが火星大気に降り込んだ際に駆動される反応系について、大気電離からクラスターイオン反応、中性化学反応に至るまでの503個の反応を網羅的にPROTEUSに実装し、PTRIPと組み合わせて現在の火星大気にSEPが降り込んだ際の大気組成の変動を見積もった。その結果、SEPイベント時にHOx密度が増大し、その結果オゾン密度が減少する可能性を初めて示唆した。年に1回の頻度で発生するSEPイベントがオゾン密度を75%減少させる可能性があり、これは火星周回探査機TGOに搭載されている分光器NOMADによる観測で検出可能であることが示唆された(Nakamura, Y., Leblanc, F. et al., 2023, JGR)。 また、約40億年前の初期火星大気におけるSEPの影響についても研究を拡張した。太陽活動が現在より活発でSEPイベントが持続的に発生していた40億年前の火星大気において、SEPによる大気電離が引き起こす水分子の解離率が太陽紫外線による光解離率を凌駕した可能性があることを示唆した。SEPによる水分子解離か生じるHOxが、初期火星大気中の一酸化炭素と水素分子の密度に1-2桁程度の変動をもたらす可能性があることを示唆した。この研究成果について、国際学術誌への投稿準備を進めている。
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