Project/Area Number |
22KJ0286
|
Project/Area Number (Other) |
22J20227 (2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 11010:Algebra-related
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
竹平 航平 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | 数論的力学系 / 高さ関数 / ゼータ関数 / 関数体 / 放物パラメータ / 力学系 / multiplier / 高さゼータ関数 |
Outline of Research at the Start |
研究においては,(1)multiplierを通して定義される力学系のゼータ関数.(2)高さ関数を通じて定義される力学系のゼータ関数.という2種類の力学系のゼータ関数の研究を中心的に行う.(1)に関しては,合同ゼータ関数の研究を参考にしたcohomology的手法の適用,特に行列式表示の証明とそれを用いたゼータ関数の極,零点の研究を,(2)に関してはゼータ関数の解析接続や,極での留数の値の研究,特に超越数論におけるMahlerの関数方程式との関係の研究を行う.力学系のゼータ関数に関する性質の理解を深めたのち,力学系のゼータ関数から得られる情報を使って,力学系の性質を明らかにする.
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に下記の二つの研究を行った。
(1)力学系の標準高さの値の分布と、高さゼータ関数の研究:本研究は、力学系の標準高さが与えられた値以下の有理点の個数の漸近挙動を導こうとするものである。本年度の研究では、基礎体が有限体上の曲線の関数体である場合に研究を行った。このケースにおいては、Hsiaによる先行研究があり、これは高さの値を用いて構成される一般Dirichlet級数である、dynamical height zeta functionを用いたものである。報告者は、このHsiaの研究を発展させる研究を行った。報告者は、ある特定の例に対して、ゼータ関数の明示公式を与えた。また、ゼータ関数の極の情報から漸近挙動を導く解析数論的補題を確立した。以上の研究は論文にまとめ、プレプリントを投稿したのち、論文誌に投稿中である。
(2)多項式の1パラメータ族に対するparabolic parameterの数論的性質の研究:この研究はNTT基礎数学研究センタの佐野薫氏、九州大学の村上友哉氏との共同研究である。力学系の1parameter族を考えるうえで、parabolic parameterは力学系の分岐現象を理解するうえで重要な概念である。報告者たちは、このparabolic parameterに対する数論的性質の研究を行った。具体的には、複数の多項式の1パラメータ族、z^d + c, z^(d+1) + c z, (z - c)z^d + c に対してparabolic paramterの高さの上からの評価を与え、特に特定の次数以下のparabolic paramterの個数が有限個であることを明らかにした。以上の研究は論文にまとめ、プレプリントを投稿した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究(1)力学系の標準高さの値の分布と、高さゼータ関数の研究、に関しては、先行研究をさらに推し進め、論文に存在した誤りを修正する議論を行うことができた。また、研究成果をプレプリントとして投稿し、現在論文誌に投稿中である。 研究(2)多項式の1パラメータ族に対するparabolic parameterの数論的性質の研究、に関しても、先行研究が存在するunicritical family z^d + cだけでなく、様々な1パラメータ族に対して、そのparabolic paramterの数論的性質を明らかにすることができた。この研究も成果をまとめ、プレプリントとして公開することができた。 以上の状況をまとめ、本研究はおおむね順調に進行していると評価している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、力学系の高さゼータ関数に関して、基礎体が有限体上の曲線の関数体の場合に研究を行い、力学系の標準高さが与えられた値以下の有理点の個数の漸近挙動を導いた。今後の課題として、基礎体が代数体である場合を考察する。基礎体が代数体であるケースに、標準高さが与えられた値以下の有理点の個数の挙動を導くため、次の二つのアプローチがある: (1)格子点の数え上げを用いる方法:これは通常の高さ関数に対する類似の問題を考える際に、Schanuelが用いた方法である。これは解析的類数公式を導く際に使われた伝統的な手法である。高さが与えられた値以下の点の集合をあるイデアルの集合と対応付け、これをさらにEuclid空間上の有界領域内の格子点の集合と対応付け、漸近挙動を導く。この手法は、力学系がすべての有限素点で良還元を持つ際に力学系類似が可能である。困難は、対応する有界領域の体積を計算する部分と、領域の境界の Lipschitz性を証明する部分である。 (2)高さゼータ関数に対して岩澤-Tateの方法を用いる方法:高さゼータ関数に対する標準的な扱いとして、岩澤-Tateの方法を使い、ゼータ関数をadele上の積分に翻訳する方法がある。この手法を力学系の高さゼータ関数に対して適用することを考える。困難となる部分は、Poisson和公式を用いて指標に渡る和にゼータ関数を変換したとき、非自明指標に渡る和の部分の収束性を保証すること、自明指標に対する積分を計算する部分である。 いずれの手法に対しても、整数論的な手法に加え、力学系、特に複素力学系および非アルキメデス的力学系の十分な知見が必要になる。次年度は、この両方の手法を並行して用い、研究を遂行する。
|