Project/Area Number |
22KJ0289
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Project/Area Number (Other) |
22J20277 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 32010:Fundamental physical chemistry-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柴田 大輝 東北大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 液-液相分離 / ラマン顕微鏡 / ブリルアン顕微鏡 / 神経変性疾患 / タンパク質凝集 / ラマン散乱 / ブリルアン散乱 |
Outline of Research at the Start |
細胞内の液液相分離とは、あるタンパク質が液滴と呼ばれる非常に高濃度の構造物を形成する現象を指し、神経変性疾患におけるタンパク質の線維凝集の前段階と提案されている。本研究ではラマン散乱とブリルアン散乱を組み合わせ、液滴を非標識で定量的に観測する新規手法を提案する。ラマン散乱から液滴内の水の量やタンパク質の濃度、構造の情報を、ブリルアン散乱から粘性や機械的な固さの情報を得る。神経変性疾患関連タンパク質であるfused in Sacromaやataxin-3を用いて、ゲル、線維を定量的に判別する手法を確立する。溶液系で得た知見をもとに細胞内で生じた液滴を観測し、液滴が線維化する機構の詳細を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ラマン-ブリルアン同時測定システムを用いて、液-液相分離(LLPS)によって生じたタンパク質液滴の測定を引き続き行った。時間変化の測定において水の蒸発が問題となっていたが、試料周囲を工夫することで水の蒸発を抑えた状態での時間変化の測定が行えるようになった。マシャド・ジョセフ病の原因タンパク質であるアタキシン3を大腸菌に発現、精製を行い、細胞内の分子クラウディング効果を模倣したPEGを含んだ緩衝溶液中におけるアタキシン3の液滴から凝集体への時間変化の観測に成功した。ラマン散乱とブリルアン散乱の同時測定を行い、液滴から凝集体へのラマンスペクトル変化とブリルアンスペクトル変化を得ることができ、液滴の固さと分子構造変化との関係を検討した。凝集化の過程に伴いブリルアンバンドが高周波と低周波の2成分に分離し、高周波成分が液滴内に生じた線維に帰属し、低周波成分は液体と同程度の柔らかさの状態であった。得られた結果から、液滴内に核となる線維状微小粒子が複数形成し、これらの核から凝集が促進されるモデルを提案した。さらに、液滴外の水のラマンバンドを内部標準とすることで、アタキシン3のラマンバンドに定量性を与え、液滴内のアタキシン3の濃度の時間変化の観測も行うことができた。また、ブリルアン散乱から得られる粘弾性の値に定量性を与えるために、ブリルアンバンドの濃度依存性による補正およびゼラチンを用いた装置のチューニングなども行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究において、ラマン-ブリルアン同時測定システムを用いたLLPSによるタンパク質液滴から凝集体への時間変化の観測に成功することができた。得られた成果を論文としてまとめるとともに、様々なタンパク質に応用することができ、また細胞内の液滴測定へも展開していることから、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果を論文としてまとめるとともに、FUSやアタキシン2など研究室内で用いられているタンパク液滴に応用する。細胞内の液滴測定へも展開する。細胞内の液滴形成には、遺伝子組み換えによる目的タンパク質の発現だけではなく、インジェクションを用いて細胞外からタンパク質を細胞内に導入する方法も用いる予定である。細胞内測定には今年度用いたアタキシン3を最初に用いる予定である。
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