Project/Area Number |
22KJ0290
|
Project/Area Number (Other) |
22J20307 (2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 26020:Inorganic materials and properties-related
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 拓真 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | 二次非線形光学効果 / ポッケルス効果 / 光波制御素子 / 結晶化ガラス / 光ファイバ / ガラス |
Outline of Research at the Start |
光信号の伝送系である光ファイバがSiO2系のガラスが主要材料なのに対し,制御系はLiNbO3などの強誘電体単結晶で構築される.これはガラスがその光学的等方性により光波制御能を持たないためであり,現行の光通信技術は両系の接続に際し大きな光損失を伴う.これを解決すべく,ガラスの結晶化及びそれによる機能性賦与に着目し,SiO2系のガラスファイバベースの光波制御素子開発を目指す. これまでに,適切な熱処理により前駆体ガラスファイバの結晶化に伴う伝搬損失増を最小限とし,電場駆動の光波制御を実証した.今後は,結晶化後の特異構造を活用し,単なる材料の置き換えに留まらず,既存素子では不可能な光学応用を目指す.
|
Outline of Annual Research Achievements |
光信号の伝送系である光ファイバがSiO2系ガラスを主要材料とするのに対し,制御系はニオブ酸リチウムなどの強誘電体単結晶が主要である。両系で大きく性質の異なる材料が使われる最大の理由には、ガラスがその光学的等方性により原理的に光波制御能を持たないことが挙げられる。したがって、現行の光通信において、両系の接続は大きな光損失の発生が免れない。本研究課題は,これら課題の解決策として、ガラスの結晶化及びそれに伴う機能性の賦与に着目し、ガラスファイバベースの光波制御素子の開発を目指している。 一年目に達成したSrO-TiO2-SiO2系の結晶化ガラスファイバにおける動的光機能性および光学単結晶級の低損失の実証について、2報の原著論文として投稿し低損失に関する論文については東北大学プレスリリースに至った。また、独自の応用展開として、結晶化ガラスファイバの特徴的な断面分極構造に着目し、「分極反転フリーかつ偏波無依存な波長変換器」を考案した。電磁場解析により最適な光導波路構造を設計し、それに基づいた形態の結晶化ガラスファイバ、および光硬化性樹脂クラッドを用いた光導波路を作製した。 さらに、本課題の扱うガラス系と同様の特徴を示す新規材料群開拓へ向けても取り組み始めた。学術変革領域(A)「超秩序構造科学」の支援を受け三ヵ月間アルフレッド大学に滞在し、実験的熱物性値から構築されるエネルギーランドスケープと分子動力学シミュレーションからガラスの熱力学的パラメータや表面エネルギーなどを取得し、結晶核形成および結晶成長の速度を予測する手法を習得した。これまでに、材料群開拓へ向けて、まずは本課題で扱うガラス系を対象として本手法に必要な各種パラメータの取得に取り組んだ。 これら成果について学会発表を6件行っており、国際特許についても1件出願中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
結晶化ガラスファイバの光機能性と低損失化の実証は論文化まで完了し、さらに当初の計画において最大の課題であった「ガラス結晶化で得られる独自の断面分極構造由来の応用法」の考案が完了し、同時に理論的にそれが可能であることも示せた。このように令和6年度までの計画はほとんど全て完了している。 そのため、現在では、本課題の扱うガラス系が極めて限定的であることから、経験的・実験的手法だけでなく最近報告された理論的手法を組み合わせて新規ガラス系開拓へ向けても取り組んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和5年度に購入したパルスレーザーを光源とし、波長変換機能に関する実験を実施し、「分極反転フリーかつ偏波無依存な波長変換器」の実験的実証に試みる。これについて、令和6年度3月時点で得られている結果に基づいた国際会議での発表を7月に予定している。また、この際レーザー強度が不十分である場合、先行研究において利用実績のある国内の他研究室保有のパルスレーザーを用いた試験依頼を予定しており、光源波長の違いに伴う光導波路の再設計が必要な場合には再度電磁場解析ソフトを導入することを予定している。 それと並行し、本課題の扱うガラス系の結晶化傾向計算および結晶化機構解明について取り組み、東北大学サイバーサイエンスセンター保有のスーパーコンピュータAOBAを用いる。 さらに、これら二種の取り組みについて、2報の論文出版を目指す。 出張費、依頼料、ソフトの料金、スーパーコンピュータ使用料、執筆から出版に係る費用などは本課題の研究費で支払う予定である。
|