Project/Area Number |
22KJ0376
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Project/Area Number (Other) |
22J00213 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 38020:Applied microbiology-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
神田 健 筑波大学, 医学医療系, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 大腸菌 / 酸耐性 / Gadシステム / トリプトファナーゼ / インドール / 転写後制御 / sRNA / 酸応答 / 遺伝子発現 / 転写後調節 / RNA / RNase |
Outline of Research at the Start |
大腸菌は、強力な酸耐性機構であるGADシステムを発現することで胃酸に耐性を獲得し、感染を成立させる。しかし、その発現制御系は極めて複雑であり、詳細は解明されていない。先行研究では、GADシステムの発現抑制シグナルを見出し、その生産酵素をコードするtnaA mRNAが酸性環境下で急激に分解されることを発見した。本研究では、tnaA mRNA分解が酸性環境で促進される分子メカニズムを解明することで、GADシステムの発現制御機構を明らかにする。さらに、この分解を阻害する分子システムを構築することで大腸菌酸耐性の発現阻害法を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、大腸菌においてトリプトファナーゼ(TnaA)の発現を制御するnon-coding small RNA (sRNA) を探索した。その結果、GcvBおよびAdiZの二つのsRNAを新たな制御因子として特定した。 GcvBは、アミノ酸代謝のマスターレギュレーターである。コンピューターシミュレーション、翻訳レポーター解析、qRT-PCRによるRNAレベルの解析等により、GcvBが特定の配列を用いてtnaA mRNAと塩基対形成し、翻訳の抑制およびmRNAの分解を誘導することを解明した。 AdiZは、本研究により発見、命名した新規sRNAである。RNA-seq解析およびレポーター解析等により、tnaAの発現を間接的に上昇させることが示唆された。AdiZによるGad酸耐性システムの発現への影響を解析したところ、adiZ遺伝子破壊株では、Gad酵素の発現レベルが上昇し、強酸性条件下(pH 2.5)における大腸菌の生存率が増大した。さらに、レポーター解析を実施したところ、AdiZの発現により、GadシステムのマスターレギュレーターをコードするgadE遺伝子の転写が強く抑制されることを見出した。このgadEの転写抑制は、tnaA遺伝子破壊株では見られなかったことから、TnaAにより生産されるインドールシグナルを介したものであると考えられる。以上の結果から、AdiZは、tnaAの発現制御を介してGadシステムの発現を抑制する新規sRNAであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸菌においてトリプトファナーゼ(TnaA)の発現を制御するsRNA として、GcvBおよびAdiZの二つを新たに特定することができた。GcvBに関しては、その発現によりtnaA mRNAの分解および翻訳抑制が誘導されることを解明し、さらに塩基対形成領域の特定にも成功したため、制御メカニズムの全容を明らかにできたと考えている。AdiZに関しては、新規sRNAとして見出し、その大腸菌酸耐性への影響を明らかにできた点で重要な成果を得られたと考えている。一方で、その制御メカニズムの詳細は解明には至らず、来年度の課題として残った。
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Strategy for Future Research Activity |
AdiZがtnaA発現を制御するメカニズムの詳細を解明するため、まず、structure probingによりAdiZのRNA二次構造を明らかにし、標的RNAとの塩基対形成に重要な一本鎖領域を特定する。次に、網羅的RNA-RNAインタラクトーム解析を実施することで、標的RNA候補を特定する。得られた標的候補に対して翻訳レポーター解析を実施することで、AdiZによる転写後制御の有無を検証する。さらに、AdiZの制御領域および標的遺伝子に変異を導入し、tnaA発現への影響を評価することで制御メカニズムを明らかにする。最終的に、同様の変異株においてGad酵素の発現レベルや強酸性条件下での生存率等を調べることで酸耐性への影響を評価し、AdiZがtnaAの発現制御を介して大腸菌酸耐性に影響を与える一連のメカニズムを明らかにする。
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