Project/Area Number |
22KJ0380
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Project/Area Number (Other) |
22J10139 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 17050:Biogeosciences-related
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
GUO ZIXUAN 筑波大学, 理工情報生命学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ハクジラ類 / マイルカ小目 / 系統解析 / 機能形態 / 聴覚機能 / 内耳 / 中新世 / 適応放散 |
Outline of Research at the Start |
エコーロケーション(反響定位)能力は高い多様性を持つイルカ類の水棲適応に最も重要な能力である.現生のイルカ類が出現するまでの進化過程の中で,聴覚機能に関わる耳骨形態が著しく発達した.エコーロケーション能力の核心である,感受性の高い聴覚機能について,耳骨形態がどのように聴覚機能を制御しているのかについて研究が進んでいない.本研究は絶滅種と現生種の形態を,それぞれの分類群による形態の違いを詳細に比較し,機能形態の評価モデルを構築する.続いてそれぞれの分類群の聴覚機能がどの発達段階にあるかを評価し,彼らの生態的地位を復元する.最後に,絶滅種と現生種の適応進化と生態的地位の転換を読み解く.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はハクジラ類の聴覚機能の評価モデルを構築し,絶滅種を含めた多様性が極めて高いイルカ類の進化過程を解明することである.そのため,下記三つの研究テーマを遂行した. テーマ1の目的はハクジラ類のより信頼性の高い系統復元を行うことである.系統解析にあたって先行研究から網羅的に形質を集約整理統合して新たなデータセットを構築し,より信頼性の高い系統関係を復元できた.さらに,日本産の初期のハクジラ類標本を詳細に記載し,新標本を加えて上記データセットを用いてハクジラ類の系統関係を復元した. テーマ2の目的は,機能形態の評価モデルを構築し,生態的ニッチを復元することである.まず,化石マイルカ小目(ケントリオドン類及びマイルカ上科絶滅種)の内耳形態を計測し,主成分分析を行なった.結果では,ケントリオドン類の内耳形態は,マイルカ上科の内群にあるネズミイルカ科の現生種と高い類似度が認められた.また,日本産の初期のハクジラ類の内耳形態を計測し,初期ハクジラ類における聴覚機能の進化の仮説を提唱した.初期ハクジラ類ではほとんどの分類群では超音波が聞き取れない内耳形態を持っているが,分類群よって超音波が聞き取れるグループもいたことが,主成分分析で分かった. テーマ3の目的は,系統解析の結果をバックボーンとし,系統上で聴覚機能がどのようなシナリオで進化してきたかを解明することである.マイルカ小目において,中新世のケントリオドン類が現生のネズミイルカ科と非常に類似した生態を示したことから,ネズミイルカ科を含めたマイルカ上科が出現した要因の一つとして,ケントリオドン類のニッチを埋めるためであったことが示唆された.また,初期ハクジラ類では,高周波を聞き取る機能は系統上で様々なグループに見られ,漸新世で起こった高周波聴覚機能の進化は一回ではなく,少なくとも二回以上起こっていたことが,本研究で初めて解明できた.
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