深部由来岩脈の透輝石メルト包有物を用いた鉱床形成プロセスと探査プローブ開発
Project/Area Number |
22KJ0393
|
Project/Area Number (Other) |
22J10793 (2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 17040:Solid earth sciences-related
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
天谷 宇志 筑波大学, 理工情報生命学術院, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | メルト包有物 / 花崗岩マグマ / アンカラマイト / 透輝石巨晶 / 熱水性金属鉱床 / 南部フォッサマグナ地域 / 花崗岩質メルト / 白金族 |
Outline of Research at the Start |
日本島弧の金属資源の形成を解明するには花崗岩質マグマの化学的特徴の解明が重要であるが、地表に露出した花崗岩は初生的な化学的特徴が失われている。 本研究では、南部フォッサマグナ地域(静岡-山梨県)に分布する深部由来の岩脈に含まれる鉱物(外来結晶)に着目し、そこに含まれるメルト包有物(地下のマグマを捕獲したもの)を分析することで、地下深部の花崗岩質マグマの初生的な化学的特徴と含まれる金属元素の種類や量を解明し、既存の地表の鉱床研究よりも深い次元から鉱床形成プロセスを解明する。 また本地域は、多数の金鉱山が存在しており、外来結晶中の金属微粒子と比較することで、鉱床の探査プローブの開発を検討する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
日本の熱水性金属鉱床では,花崗岩マグマの初生的な金属・硫黄・水等の含有量や酸化還元状態が,鉱床形成に重要である.しかし,地表の花崗岩体は,熱水分離等で初生的な特徴を失っており,地下深部の初生的特徴の解明が,鉱床形成論の重要な課題である.本研究では,未分化で初生的な塩基性マグマが,上昇過程で地下の花崗岩マグマ溜まり付近を通過時に捕獲する,花崗岩質メルト包有物を分析,花崗岩マグマの初生的特徴の解明を試みた.初年度は,透輝石巨晶を含む玄武岩,普通輝石巨晶を含む玄武岩質安山岩を山梨県南部町で採取した. 透輝石巨晶は,2種類の結晶化包有物を多量含み,一方は,主に石英・カリ長石・斜長石・角閃石からなる花崗岩質,他方は,主に方解石と緑泥石からなる炭酸塩質であった.両包有物は,小さな黄鉄鉱・黄銅鉱の析出結晶を含み,微量の閃亜鉛鉱・方鉛鉱・斑銅鉱等も時々伴う.一部の黄銅鉱にはNi,Co,Pb,Cdが濃集し,稀に微小な金銀化合物も確認された.普通輝石巨晶も同様な花崗岩質メルトの包有物を含むが,硫化物は磁硫鉄鉱のみであった.透輝石巨晶は約20 kmより浅部で花崗岩質メルトを捕捉したことが示された. 最終年度は,花崗岩マグマの化学組成を推定した.輝石巨晶中の花崗岩質メルトの組成は,水分量の少ないメタアルミナスな閃緑岩~花崗閃緑岩の組成に対応し,透輝石巨晶に捕獲された花崗岩質メルトの平均硫黄濃度は約7000 ppm,銅濃度も約3000 ppmと日本の大規模熱水性金属鉱床を伴う花崗岩以上であることが分かった. 透輝石巨晶中の花崗岩質メルト包有物の析出硫化物の種類と量は,地表の銅・鉄主体で少量の鉛・亜鉛・金銀を伴う鉱脈型鉱床の鉱種や相対的な金属量の傾向と調和的であった.本研究は,深部起源の花崗岩質メルト包有物に析出する金属硫化物の特徴が,島弧の花崗岩起源の金属鉱床の探査プローブとして活用できる可能性がある.
|
Report
(2 results)
Research Products
(3 results)