Project/Area Number |
22KJ0463
|
Project/Area Number (Other) |
21J20682 (2021-2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 45020:Evolutionary biology-related
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
横溝 匠 千葉大学, 理学研究院, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | 潮汐環境適応 / 概潮汐リズム / 概日リズム / 表現型可塑性 / トランスクリプトーム / 塩ストレス耐性 / 感潮域適応 |
Outline of Research at the Start |
生物の体内時計は環境リズムとの同調に大きな役割を果たしている。感潮域への適応には潮汐サイクルに同調した生物リズムである概潮汐リズムの獲得が重要であると考えられる。本研究では、河川性巻貝のチリメンカワニナの活動リズムや遺伝子発現リズムを解析し、汽水域進出に伴う概潮汐リズムの獲得を実証する。また、トランスクリプトーム解析やRNAiなどの分子生物学手法を用いて、概潮汐リズムの適応的意義の解明とリズム発振に関わる遺伝子の探索を試みる。本研究は新規内在リズムの獲得が新規環境への適応・分布拡大に与える影響の解明につながることが期待される。
|
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、RNAiによるノックダウン実験を行ない、チリメンカワニナにおける概潮汐リズムを制御する遺伝子を探索することを目的とした。候補遺伝子は、トランスクリプトーム解析によって約12時間周期の発現リズムがあることが明らかになった遺伝子の中から選定した。一方で、一部の概日時計遺伝子が概潮汐リズムに関与しているという報告がなされたため(Kwiatkowski et al., 2023, Lin et al., 2023)概日時計遺伝子も重要な候補として実験を進めた。 概日時計遺伝子は季節によって発現パターンが変化することが知られているが、潮汐環境のもとでどのような季節性を示すのかについてはほとんど知見がない。そこで、RNAiの準備と並行して、感潮域集団と非感潮域集団における概日時計遺伝子の季節ごとの発現パターンを解析した。その結果、両集団において時計遺伝子の発現量は冬に低下することが示された。また、period遺伝子はどちらの集団でも冬に概日リズムが弱くなり、cycle遺伝子は感潮域集団において概日リズムが不明瞭な傾向にあった。以上のように、それぞれの集団における概日時計遺伝子の季節ごとの発現パターンをつかむことができた。 このデータを踏まえ、とくに集団間で発現リズムに大きな差がみられたcycle遺伝子に着目し、冬以外の季節に実験を行なうことを計画した。dsRNAiの合成が難航したものの、現在は定量PCRによってインジェクションによる発現抑制を検証する段階まで至った。しかし、行動観察までは行えなかったため、今後の実験として計画している。 期間全体の研究成果により、チリメンカワニナの感潮域適応には概潮汐リズムとその可塑性が重要な役割を果たしていることが示唆された。その遺伝基盤については、RNAi実験も含め、今後の研究によって明らかにできると期待している。
|