Project/Area Number |
22KJ0560
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Project/Area Number (Other) |
21J20450 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 45020:Evolutionary biology-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金原 僚亮 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 頭足類 / 胚発生 / 吸盤 / 進化 / コオプション / 形態形成 / 形態形成過程 |
Outline of Research at the Start |
軟体動物門頭足綱に属するイカやタコ等の持つ吸盤は,複雑な行動を可能にし,高度な知能の発達や適応放散に関わる重要な形質である.しかし吸盤の祖先的な形態はわかっておらず,その進化過程は未解明である.本研究では,コウイカを用いた遺伝子発現解析等により吸盤形成に必須の遺伝子を特定し,吸盤形成のメカニズムを解明する.さらに頭足類においてイカと並び大きなグループをなすタコや,祖先的な系統で吸盤を持たないオウムガイについても解析し系統間の比較を行うことで,どのように形態形成機構が変化して吸盤という独特の形質が獲得されてきたのか明らかにする.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では頭足類の複雑な行動に欠かせない吸盤という新規形質の獲得過程解明を目的とした.まずイカ,タコにおける吸盤形成過程を観察し発生学的な基盤を構築するため,コウイカSepia esculentaやアオリイカSepioteuthis lessonianaを対象として吸盤形成過程を詳細に記載した. さらにイイダコAmphioctopus fangsiaoやマメダコOctopus parvusという2種のタコについても吸盤形成過程の観察を行い,イカ類との比較を通して先端に吸盤を形成する尾根状の領域があること,吸盤原基の頂端部が陥入して吸着構造が発達することなど,頭足類に共通する吸盤形成過程を明らかにした.次いでイカやタコの吸盤形成に必須の遺伝子を特定し,分子機構を解明するため,コウイカS. esculenta を主な研究対象としてin situ hybridizationと腕の先端から基部にかけての部位ごとのRNA-seqを行い,吸盤で特異的に発現するEts1やChordinなどの遺伝子を特定した.さらに,軟体動物の系統間の比較により吸盤の進化過程を考察するため,腹足類のヨーロッパモノアラガイLymnaea stagnalisに着目して腹足との遺伝子発現の比較を行い,祖先的に足の発生過程では発現していなかった胚発生初期の体軸形成に関わるBmp2/4やChordin等が頭足類の腕特異的に導入されたこと,原腸陥入に関わる転写因子Ets1等が吸盤原基で局所的に使いまわされるようになったことなどが吸盤の獲得に繋がった可能性を示した.以上の研究から,胚発生初期の体全体のパターンニングなどに用いられる遺伝子群が,頭足類では末端の器官において特異的に使い回されて吸盤の獲得に繋がったのではないか,という頭足類の新規形質,吸盤の進化の道筋を示すことができた.
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