Project/Area Number |
22KJ0568
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Project/Area Number (Other) |
21J20621 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 17010:Space and planetary sciences-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
櫻井 亮輔 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 非晶質ケイ酸塩 / 始原隕石 / 原始惑星系円盤 / 初期太陽系 / 酸素同位体 / 円盤ダスト / 化学反応速度論 / 鉄 / 硫黄 |
Outline of Research at the Start |
原始太陽系円盤において高温のガスが冷却する過程で,ケイ酸塩に次いで約1300-700 Kの温度領域で凝縮するMn, K, Na, Sといった元素 (中程度揮発性元素) は凝縮温度が低いほど太陽系存在度に比べ始原的隕石中に枯渇していることから,円盤内での分別過程があったことを示す.硫黄は惑星コアの化学組成を変化させるなど,岩石惑星の構造や進化にとって極めて重要であるが,惑星におけるそれらの元素の存在度を決定した分別過程がどのようにして起こったのかは未解明である.そこで本研究では,中程度揮発性元素の代表として硫黄が硫化鉄として凝縮する反応の,原始太陽系円盤環境における速度および律速段階を決定する.
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Outline of Annual Research Achievements |
原始惑星系円盤において,金属鉄は硫黄をガスから凝縮させるための反応物として作用する.しかし,始原隕石のマトリックスに保存された非晶質ケイ酸塩ダストの観察から,円盤のごく初期段階において鉄の多くは非晶質ケイ酸塩に陽イオンとして含まれていた可能性が示唆されている.一方で,その鉄に富む組成は母天体変成の結果とも考えられており,未だに決着がついていない.そこで,我々はダストの酸素同位体に注目し,FeO富む非晶質ケイ酸塩ダストが円盤に存在していた場合に,実際の隕石物質のもつ地球に近い酸素同位体組成を説明可能か検証するため,FeOに富む非晶質ケイ酸塩と水蒸気の酸素同位体交換反応速度を実験的に調べた.円盤ガスを模擬した低圧の水素と水蒸気の混合ガスフロー中で,FeOに富む非晶質ケイ酸塩ナノ粒子粉末を様々なガス比,圧力,温度,時間の条件で加熱した.加熱試料の酸素同位体組成を二次イオン質量分析計で測定した結果,酸素同位体交換反応がFeOを含まない非晶質ケイ酸塩に比べて速く進行することがわかった.円盤におけるダストの結晶化や運動を同時に考慮すると,FeOに富む非晶質ケイ酸塩ダストはより低温でも酸素同位体交換が完了するため,実際の隕石物質の酸素同位体組成を説明可能であるばかりか,鉄に乏しいものに比べてより粒径の大きい粒子も地球に近い酸素同位体組成に進化できることがわかった.したがって,始原隕石中の非晶質ケイ酸塩の鉄イオンに富む組成が母天体変成によるものではない場合,原始太陽系円盤の初期段階において,非晶質ケイ酸塩が円盤中の鉄の多くをイオンとして保持していた可能性は否定されない.
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