Project/Area Number |
22KJ0644
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Project/Area Number (Other) |
21J21670 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳瀬 大輝 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2021: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | メルロ=ポンティ / 現代フランス哲学 / カント / フッサール / シェリング / マルブランシュ / サルトル / パトチカ / フランス現代哲学 / 現象学 / デカルト / 存在論 |
Outline of Research at the Start |
遺稿集『見えるものと見えないもの』を中心とする晩年のテクストにおいて、メルロ=ポンティは主体の立場のさらに基底にあって、主体を他の存在者とともに産出する次元の探究をおこないそれを「存在論」と呼んだ。こうした試みは神や超越論的主観に依拠する伝統的な哲学を批判的に乗り越えることを目指したものとして、1960年代以後花開く「現代フランス哲学」の先駆として評価されるけれども、その内実は未だ十分に明らかにされているとは言い難い。本研究は、メルロ=ポンティが批判する伝統哲学とメルロ=ポンティ以後の哲学の両方に目を配りながら、その「存在論」的思索を包括的に解明することを目的とするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
①研究実施計画にしたがい、後期メルロ=ポンティの存在論を、デカルトに代表される近世の形而上学やカントの超越論的観念論との対比において位置づける研究をおこなった。まず、メルロ=ポンティの『自然』講義における哲学史への記述を踏まえた上で、カントの超越論的観念論に対するメルロ=ポンティへの批判と、それを通した存在論の構築の研究をおこない、その成果を論文「「コペルニクス的転回」から「コペルクス説の転覆」へ―後期メルロ=ポンティにおける超越論的観念論批判-」としてまとめ、『哲学』第75号に投稿し、受理された。また、同じ『自然』講義におけるメルロ=ポンティのシェリングへの言及を、デカルトやカントにおいて論じられた存在者の最終的根拠としての神の存在証明の問題との関連という視角から検討した。そして、この研究を論文「後期メルロ=ポンティにおけるシェリング読解の存在論的意味」としてまとめ、『論集』第42号に投稿した。最後に、メルロ=ポンティの思索への影響が指摘される17世紀の哲学者マルブランシュへの言及を踏まえた上で、後期哲学における主体の位置づけを検討した。この研究については、日仏哲学会2024年春季大会(2024年3月24日、東京大学駒場キャンパス)において発表した上で、『哲学雑誌』に投稿した。この他に、メルロ=ポンティ存在論における根源的場である「肉」からの差異化を通じた存在者の生起の問題についても検討し、「メルロ=ポンティにおける差異の問題」として、哲学会カント・アーベント(2023年4月22日、東京大学本郷キャンパス)において発表した。 ②予定していた在外研究については、円安等による渡航・滞在費の高騰から見合わせた。その分については、同じく価格が高騰していた洋書を中心とした書籍の購入にあて、①にあげた研究のために用いた。
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