Project/Area Number |
22KJ0697
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Project/Area Number (Other) |
21J22866 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
奥田 弦希 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2021: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | ハプスブルク帝国 / イスラーム / ムスリム / ボスニア・ヘルツェゴヴィナ / 1912年イスラーム法 / オスマン帝国 / マイノリティ保護 / オーストリア / 1912年イスラーム教法 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、1908年のボスニア併合から1918年の帝国崩壊に至る時期のハプスブルク帝国のムスリムに対する政策の形成過程・変化の解明にある。そのためにこの時期の帝国両半部においてイスラームが公認宗教に編入される過程を、①帝国の各地域を跨いだ関係諸アクターの間でどのような交渉・調整・妥協の末に合意形成がなされたのか、②これらの合意形成過程によって帝国の政策はどのように形成され変化していったのか、という観点から検討する。これを通じてボスニア併合の終着点を時間的・空間的により広い視座で捉え、さらに帝国の合意形成・利害調整能力を問うことで帝国の存続可能性に関する近年の議論に新たな視座を与える。
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Outline of Annual Research Achievements |
報告者は今年度、以下のような学術活動を行なった。 まず調査分析面に関しては、昨年度のウィーンでの現地調査で入手した資史料の分析を進めた。特に昨年度の文書館調査で独自に発見した1912年イスラーム法の予備討議の議事録や同法の草案A・B・Cの分析を進め、1912年イスラーム法の成立過程を予備討議段階に遡って精査した。これらの予備討議の議事録や諸草案は先行研究では散逸したとされており、史料的価値も高いものである。分析結果は以下のように国内の3つの学会で報告した。 国内での学術活動に関しては、2023年7月1日の2023年度東欧史研究会第1回例会で研究報告「二重制期オーストリアにおける1912年イスラーム法の成立過程:1909年1月14日の予備討議ならびに草案A・B・Cの分析を中心に」を、2023年11月12日の第121回史学会大会西洋史部会で同報告の内容をさらに発展させた研究報告「二重制期オーストリアにおける1912年イスラーム法の成立過程:1909年1月14日の予備討議ならびに草案A・B・Cの分析を中心に」を、2023年12月2日の東欧史研究会小シンポジウム「帝国からの独立」でポスト帝国期にまで射程を広げた研究報告「帝国の包摂から国民国家の包摂へ:ポスト・ハプスブルク帝国期における1912年イスラーム法の継承」を行った。 本年度が本研究課題の最終年度にあたるが、本研究課題を通じてハプスブルク帝国のムスリム住民に対する政策の一側面を、1912年イスラーム法の法案作成過程の分析、さらにはカトリックにもとづくオーストリアの既存の法制度やオスマン帝国との外交関係をはじめとする国際関係など多様な要素と関連させつつ解明できたと考えている。研究成果の公表に関しては、研究期間中に査読論文1本を含む多くの研究公表の機会を得られ、おおむね当初の計画以上の成果が得られたと考えている。
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