Project/Area Number |
22KJ0720
|
Project/Area Number (Other) |
22J00227 (2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 42030:Animal life science-related
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 英里 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
|
Keywords | 選択的スプライシング / インスリン受容体 |
Outline of Research at the Start |
アミノ酸は単なる栄養素として働くだけではなく、細胞に外界からの情報を伝えるシグナル分子としても機能する。我々は、肝臓においてインスリン受容体の選択的スプライシングがアミノ酸飢餓によって変化し、その変化が1種類のアミノ酸添加によって元に戻ることを見出した。本研究を推進することで、細胞外シグナルがアミノ酸によって伝えられ、転写後調節である選択的スプライシングの制御を通して生物が環境に適応する機構の解明を目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
インスリン受容体(IR)には選択的スプライシングによって産生されるIR-AとIR-Bが存在する。本研究では、IR 遺伝子をモデルとして、アミノ酸に応答して選択的スプライシングを制御する因子と、mRNA前駆体配列上にあるスプライシング制御配列の同定を行い、アミノ酸によるシグナルが選択的スプライシング制御を行う機構の解明を目的とした。 IR RNA配列上にある制御配列の探索を行った結果、イントロン11の+267~+541塩基の領域が、アミノ酸欠乏時のIR-A型優位への変化に必要であることがわかった。予測プログラムを用いて結合する因子の候補を探索したところ、PTBP1の結合配列が存在することが明らかになった。そこでPTBP1をsiRNAによってノックダウンし、内在性IRの選択的スプライシングパターンを解析したところ、PTBP1はIRのIR-A型のスプライシングを誘導することが明らかとなった。さらに、PTBP1はオルニチンに特異的に結合するタンパク質であることをわれわれは見出している。以上のことから、オルニチンがPTBP1に結合することでmRNA前駆体への結合が阻害され、選択的スプライシングの調節ができなくなる結果、IR-B型優位へと変化することが示唆された。 アミノ酸欠乏・オルニチン添加培地で培養したラット肝癌由来H4IIE細胞におけるIRの選択的スプライシングの経時的変化を解析したところ、アミノ酸欠乏によってスプライシングパターンが変化する時間と、アミノ酸欠乏状態の細胞へのオルニチン添加によるスプライシングが変化する時間には差が見られた。この理由として、オルニチンが細胞に取り込まれるのに時間がかかる場合と、オルニチンが直接、PTBP1などのオルニチン結合タンパク質を介してIRのスプライシングを制御するのではなく、その代謝産物がIRのスプライシングを制御する場合とが考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、IRの選択的スプライシング機構の解明を進めることができた。アミノ酸欠乏に応答してIRの選択的スプライシングを制御する因子としてPTBP1を見出し、IR mRNA前駆体配列上にあるイントロン11の+267~+541塩基の領域が、アミノ酸欠乏時のIR-A型優位へのスプライシング変化に必要であることを明らかにすることができた。一方で、オルニチンが直接IRの選択的スプライシングを制御するのではなく、その代謝産物が選択的スプライシングを制御する可能性が考えられた。この可能性について解析するためには、オルニチンから代謝されてできる産物(プロリンやシトルリンなど)の濃度の経時的な測定が必要であるが、現在予備的な結果が得られている。以上のことから、本研究課題は概ね順調に進展していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
アミノ酸に応答してIRの選択的スプライシングを制御する因子として見出したPTBP1タンパク質について解析を行う。PTBP1をノックダウンし、内在性IRのスプライシングパターンの変化と、アミノ酸飢餓及びオルニチンへの応答性を解析する。また、イントロン11の領域内に存在するPTBP1結合部位がIRのスプライシング制御に必要かどうかを明らかにする。先行研究で用いられたレポーター(IR1)のイントロン11内にあるPTBP1の結合部位に変異を導入し、IRレポーターのスプライシングパターンを解析する。PTBP1の結合配列がオルニチンによるIRのスプライシング制御に必要であることが明らかとなった場合、オルニチンがPTBP1に結合することで、そのRNA結合活性に影響を与える可能性がある。そこで、PTBP1の結合配列にビオチンを付加したオリゴRNAを用いて、PTBP1タンパク質の結合と反応液中へのオルニチン添加が与える影響をin vitroで解析する。一方で、PTBP1の結合部位がIRのスプライシング制御に関与していない場合、+267~+541塩基の領域内でどの部位がスプライシング変化に必要か検証する。前述の領域をさらに3つの領域に分割し、その領域を1つ欠失させたレポーターを各々作製し、アミノ酸飢餓に応答する領域を同定する。 加えて、前述したスプライシング変化のタイムラグの理由を明らかにするため、オルニチンの細胞内濃度を継時的に観察し、取り込まれる時間とスプライシング変化の時間とを比較する。また、オルニチン代謝産物によるスプライシング制御の可能性について解析するため、オルニチンから代謝されてできる産物の濃度を継時的に測定する。さらに、それらの代謝産物をH4IIE細胞に添加し、IRの選択的スプライシングスプライシングパターンの変化について解析を行うことで、この可能性について検討する 。
|